最近インスタグラム上で、企業とインフルエンサーがコラボした企画が多く行われています。
今回取材させていただいたアパレルECブランドmellowneonさんは、人気のインフルエンサーを通して購買につながるコンテンツを展開されており、実際にインスタグラムからの購入率がほぼ100%であるとのことです。
そこで、インフルエンサーを巻き込んだマーケティング手法について詳しくお話を伺いました!
目次
目次
1.企業ご紹介
1-1.mellowneon by PATRA について
mellowneon by PATRAは 女性向け動画メディアPATRAがプロデュースするオンライン販売に特化するセレクトアパレルブランドです。
ブランドのテーマは”インスタ映え”。ヴィンテージファッションの雰囲気と韓国ファッションをミックスしたトレンド商品を中心に展開し、インフルエンサーとのコラボ商品なども数多く販売しています。
1-2.インスタグラムアカウント紹介
インスタグラムアカウント @mellow_neon
フォロワー数 48.6千人(2018年8月現在)
アカウント開設 2017年12月
今回はmellowneonを運営するPATRA.inc 取締役COOの鈴木さんにお話を伺いました。
2.運用経緯
動画メディアPATRAとmellowneonが誕生した経緯についてお伺いしました。
2-1.動画メディアPATRA
ーーまずmellowneonをプロデュースしている動画メディアPATRAについて教えてください。
鈴木さん:
動画メディアPATRAでは女の子のための可愛いお役立ち動画を配信しています。
”分散型メディア”として、ターゲットとしている若い女の子達が集まるYouTubeやインスタグラム、Twitterなどにコンテンツを出して運用しています。
現在は、再生回数が多く反応も良かった「メイク」「ライフハック」「裏技」「トレンド紹介」等のコンテンツを中心に動画を配信しています。
PATRAインスタグラム @patra_mag
2-2.服はファーストステップ
ーーアパレルセレクトブランドを立ち上げたきっかけを教えてください。
鈴木さん:
動画メディアPATRAを商品が売れるメディアとして更に力を入れていこうと考えていた頃、ライブコマースが話題となっていました。ライブコマースとはインスタグラムでタレントやインフルエンサーがライブ動画を配信し、視聴者はリアルタイムに質問やコメントをしながら商品を購入できるという新しいEコマースの形です。
インスタグラムでのライブコマースのサービスを研究し「何を売るか」という部分が最も大事だということはすぐに理解しましたが、多くのライブコマースのサービスは「誰が売るか」という部分を強く推していた印象を受けました。しかし、いくら有名人が販売していても紹介している商品が魅力的でなく、今買わなくてもどこかで手に入る商品であればサイト内で決済をする理由は生まれにくいと思いました。
そこで私たちは、重要なのはいかに「今ここで買いたい!」と思わせる売り方・魅せ方・MD選定をするかで、できる限り「そこでしか買えないもの」を売っていこうと考え、自社ブランドを立ち上げました。
3.インフルエンサー活用成功事例
mellowneonはインスタグラマーがモデルとして登場するだけでなく、服の選定から関わりPRまでを行う「コラボ販売」も注力して行っています。そこで、インフルエンサー起用のきっかけとインフルエンサーと関わる上で大切にしていることを伺いました。
3-1.起用のきっかけ
ーーインフルエンサー起用のきっかけを教えてください。
鈴木さん:
洋服をインスタグラムで売ると決めてから、インフルエンサーを巻き込んだマーケティングをしていきたいと思いました。
そこで、まず私たちと一緒にお仕事をしてくれるインフルエンサーを探しました。ブランドの雰囲気が合いそうな子を厳選し5名程度に「よかったらうちのお洋服を着てくれませんか?」といった内容のDMをインスタグラム経由で送りました。例えばその中で今も一緒にお仕事をさせてもらっているあきちゃん @akeeey95 や弊社ブランドプロデューサーとなったあかねこ @akaneko26 です。
インフルエンサーに売りたい商品を買い付けてもらい、インスタ上でのPRを担当してもらいます。弊社ではその販売と配送業務などを行うといった形です。ブランドの既存アイテムとも雰囲気の合うインフルエンサーを起用しているので、インフルエンサーの投稿がきっかけでブランドを知ってくださったお客様も多く、コラボ販売はフォロワーや売上のボトムアップにもつながりました。
ーー数多くいるインフルエンサーの中での選定は難しいと思いますが、採用の基準を教えてください。
鈴木さん:
特に「ブランドに合う雰囲気か」「この子のファンが自分たちのファンになってくれるか」「モノを売れる人か」を見極めて声がけをしています。中には連絡が途中で取れなくなってしまったり、やりとりがスムーズに行かない方もいらっしゃるので、長期的な視点で慎重に選んでいます。
また、ブランドに合う雰囲気かという点も重要視しています。いくらフォロワー数が多くてもフォロワーの層がブランドのターゲット層と一致しないとフォローと購入には繋がりにくい傾向にあります。先月インフルエンサーと共にイベントを開催しましたが、ブランドの雰囲気に合っている子のフォロワーの層はブランドのターゲット層に近いことがよくわかりました。
3-2.関わっていく上で大切なこと
ーー様々なインスタグラマーと関わる上で意識していることはありますか?
鈴木さん:
インフルエンサー達が成果を出しつつ楽しみながら仕事ができるようにサポートすることです。
キャプションやハッシュタグの数や加工方法、投稿の方法や時間などの企業側の細かな指定や指示が入るほど本人たちの本当の魅力を潰してしまうと思うので、写真撮影や投稿管理といったインフルエンサーが得意なPRの部分はお任せし、その他の発注管理や在庫管理等は私たちが行っています。
ーーコミュニケーションをとる上で大切にしていることはありますか?
鈴木さん:
「意見をしっかり聞くこと」「彼女たちのこだわりを知ること」「最大限の魅力を伝えてもらえるようにきちんと説明すること」を大切にしています。できるだけ仕事でも成果を出してもらえるようサポートし、また一緒に仕事をしたいと思ってもらえるように積極的にコミュニケーションをとっています。
あとは、仕事関係なくプライベートな悩みを聞いたり相談に乗ったりすることも多いです。相手に仕事がしやすい人だと思ってもらい、一人の人間として信頼してもらえるように「困っていることや悩んでいること、やりたいのにできていないことがあればなんでも話してね」と声をかけています。
専業でやっている人や趣味でやっている人などインフルエンサーにも様々な形があるので、
その人のスタイルをよく理解した上でよりよい関わり方を考えていく必要があると思っています。
4. ブランドのファンになってもらう工夫
mellowneonのインスタグラムのフォロワー数は開設半年で3万人超え。多くのファンの心を掴んだアカウントのブランディング方法を伺いました。
ーーアカウントはどのように運用されていますか?
鈴木さん:
私達はブランドに応じて複数のインスタグラムアカウントを持っているのですが、基本的にどのアカウントも1~2名で運用しています。
実際の購買はストーリーズをうまく使う方が伸びるので、実際に購入に繋げる意識をするのはストーリーズ、ファンを増やす意識はフィードといった使い分けをしています。
ーー素材はどのように撮影されていますか?
鈴木さん:
オフィスの外と屋上などでスマートフォンを使って撮影しています。加工はプレスメンバーにお任せしていて、納品された加工済みの写真の中から、思わずいいねしたくなるようなインスタ映えする写真を選んで投稿しています。
mellowneonだと一眼カメラでスタジオで撮った綺麗な写真より、自分が何気なく着ている姿や置き撮りなどといった方が投稿は伸びます。
「自分もこういう写真を撮りたい」「自分もこういうシチュエーションでこの服を着たい」という思いがmellowneonで服を買うモチベーションに繋がっていると思うので、インスタグラム内で伸びている写真のリサーチと写真の撮り方、そして加工の雰囲気の研究はずっと続けています。
また、海外の市場から服を仕入れているので、実は他のブランドと全く同じ商品を販売してしまうことがあります。
しかし、逆にそれが面白いところで、たとえ同じ商品が別ブランドから出ていたとしても、お客様はサイトを探し回って一番安いところで買うわけではない可能性があります。これこそが「ブランド」が持つ強さかなとも思いますし、だからこそブランディングにおいて「このブランドのものを着たい」「もっと関わりたい」と思わせるような雰囲気作りは特にこだわっています。
これからもファンにとって「ここで買えば間違いない!」と思ってもらえるようなMD選定や雰囲気の作り方は研究を続けていきたいと思っています。
5.相互が楽しみながら仕事ができる仕組み
ーー今後の目標を教えてください。
鈴木さん:
今は3つのブランドを展開するEC事業と最初にお話した動画コンテンツ事業の二軸ですが、将来的にはこの2軸をしっかりと組み合わせて今までにないメディアコマースとしてサービス確立していきたいです。
「動画から買う」「記事から買う」といったようなエンタメ寄りのショッピングの実現に向けてまずはECの基本を作っています。もちろんライブコマースにも挑戦していきたいと思っています。
また、先月インフルエンサーのブランドを2つリリースしたのですが、これらの新しいブランドも成長を加速させるために、素晴らしいインフルエンサー達と共におもしろい取り組みをしていきたいです。
・jonathan closet(ジョナサンクローゼット) @jonathan_closet
HP:http://jonathan-closet.store
・catty kitten official ( キャティーキトゥン ) @cattykitten_official
HP:http://cattykitten.me
ーー今後何かチャレンジしたいことはありますか?
鈴木さん:
先日mellowneon初のイベント「PATRA FASHION MARKET」を開催しました。
400名近くの方が来てくださり、大盛況なイベントになりました。イベント終了後に行った、「イベントで撮った写真を #patrafashionmarket をタグ付けして投稿してくれた方に抽選で5名様に1500円分のクーポンをプレゼント」という企画では140件以上の投稿が集まりました。
今後はこのようなイベントやポップアップなどの開催の機会を増やし、お客様との接点をさらに増やしていきたいと思っています。またブランドのファンのコミュニティを作る施策も進めていきたいです。
6.まとめ
編集部:
今回の取材で伺ったように、インフルエンサーとの綿密なコミュニケーションがインフルエンサーとコラボをする上で大切ではないでしょうか。
インフルエンサーごとのタイプを理解した上で、成果を数字だけで見るのではなく、インフルエンサー自身の意見に耳を傾け、相互が成果を出しつつ楽しみながら仕事ができるように積極的なコミュニケーションをとることが大切です。
ビジュアルメインのインスタグラムは、ブランドの雰囲気を発信する手段として最適なツールの一つです。ターゲットが物を買うモチベーションを考えることが、インスタグラム内でのブランディングの成功に繋がるのではないでしょうか。