Instagramユーザーは着実に増加しており、最近では一般のユーザーだけでなく、企業の活用事例も増えてきています。
基本的にInstagramというと「個人ユーザーに向けた情報発信をする場」と捉えられていることが多く、なかなか企業の活用は難しいと思われるかもしれません。
しかし、企業ごとに異なるさまざまな目的に応じたアカウント運用を計画的に行うことで、Instagramを起点とした施策が売り上げ増加に繋がっているケースもあるようです。
今回は、テテマーチでInstagramマーケティングの支援をさせていただいている原田産業株式会社で、現在コンシューマープロダクトチームのゼネラルマネージャーを務める鈴木一平様(以下、鈴木さん)と、同じくコンシューマープロダクトチームの安原唯菜様(以下、安原さん)に、
- なぜ企業としてInstagramの活用を始めたのか
- 実際にどのような効果、反響があったのか
- 今後に活かせる反省点はあるか
などのお話を伺いました。
目次
目次
- 1.Instagramキャンペーン「パケわんグランプリ」ができるまで
- 2.複数社を比較してテテマーチを選んだ理由とは
- 3.Instagram施策を始めて生まれた”社内コミュニケーション”
- 4.ユーザーから寄せられた「店頭で泣きました」というコメント
- 5.今後に向けて
1.Instagramキャンペーン「パケわんグランプリ」ができるまで
ーー松重:原田産業様とは、以前にマスクの商品で「パケわんグランプリ」というInstagramキャンペーン(フォトコンテスト)を実施させていただきましたよね。
ーー安原さん:そうですね。その時は本当にお世話になりました。
ーー松重:今回は、その時のエピソードを交えながら「企業がなぜInstagramでのプロモーションを実施しようと思ったのか」「実際の反響はどうだったのか」といったお話を聞かせていただきたいです。
さっそくなのですが、商社としてBtoCのビジネスを展開する原田産業様が、なぜInstagramの活用に踏み切ったのでしょうか?
ーー鈴木さん:以前に別の商品で、新聞やフリーペーパーなどの広告掲載の誘いを受けて試してみたことがあるんです。でも、結果が出ているのか出ていないのかよく分からないし、反響もいまいちどうなのか分からないというのがあって。
とはいえ、小売でビジネスをやるのであれば、お客様にはなにかしらの形で発信していかないといけないと思っていました。
ただ、いまさら別の大手さんがやっているような電車広告やテレビCMを打ってもしょうがないなという意識もあって、そこでなにか新しいチャレンジをしてみたいと思ったんです。
ーー松重:ということは、マスメディアでのプロモーションにあまり満足な効果が得られなかったからInstagramに注目してみたということですね。
そういえば、私は今でも覚えているんですが、確かはじめは安原さんから電話でお問い合わせをいただいて、その時に「マスクのプロモーションの件で」と相談をされたんですよね。正直「マスクは難しいな・・・」と思ってしまいました。(苦笑)
でも安原さんとしては構想があって、もともとマスクのパッケージには犬の写真が掲載されていて、そのパッケージの写真をInstagramで集め直すことができたらおもしろいんじゃないか?ということだったと思うのですが、その構想を聞いてからも「そんな写真集まるのかな・・・」と少し不安だったんですよ。
ーー安原さん:突然すみませんでした。(笑)
ーー松重:実際、Instagramを活用しようと検討を進める中でぶつかった壁というか、「イメージとちょっと違う」と思う出来事などはありましたか?
ーー安原さん:ユーザーファーストというのが難しいなと思いました。その構想を練っている時も、最初はなんとなく「もしもInstagram上で自社の商品に関する情報が拡散されて、結果的にその商品のビジュアルが多くの人の目に触れることができたらおもしろいんじゃないか」って思っていたんですが、そういう話を周りに相談すると「その内容だと絶対にあまり投稿は集まりません」っていう答えばかり返ってきてしまって。
ーー松重:そうですよね。私も休日を使ってカフェで企画を考えていたんですが、「Instagram上でマスクのプロモーションってどうすれば良いんだろう?」と一人で悩んでいました。
私たちのお客様の中でも、やっぱりInstagramプロモーションとなると、単純に「商品パッケージをユーザーに撮影してもらってInstagram上に投稿を・・・」と考える方がとても多いのですが、これはあまり好ましい施策ではないことがほとんどです。
というのも、Twitterの場合は気軽に他のユーザーのツイートをリツイートすることができますが、Instagramの場合は自分のアカウントの世界観を大切にされている方が多いので、「この商品は自分のInstagramアカウントの雰囲気と合わないからあまり投稿したくないな」と思うと、それを投稿してインセンティブを受けたいと思うモチベーションよりも、自分のアカウントの世界観を保ちたいというモチベーションが勝ってしまって投稿しなくなるんですよね。
ーー安原さん:そうなんですよね。だから私たちも悩んでいました。
2.複数社を比較してテテマーチを選んだ理由とは
ーー松重:そういえば、あの時はたしかテテマーチだけではなくて他の会社さんにもInstagram活用の件で相談されていましたよね?
ちなみに複数社から話を聞いた中で、なぜテテマーチを選んでいただいたんでしょうか?「安さです!」と言われたら困ってしまうのですが・・・。
ーー安原さん:松重さんの人柄ですかね、というのは半分冗談ですが(笑)、もともとテテマーチさんを知ったのは、たまたまインターネットで「Instagram 販促」などで検索した時にヒットして気になったからです。他の会社さんについても同じようにインターネットの検索で見つけました。
テテマーチさんはWebサイトがしっかりしていて安心できましたし、なによりおもしろそうな会社だなと思ったんです。ちなみにその時はテテマーチさんの他に3社ほど連絡をさせていただきました。
ーー松重:ありがとうございます。Instagramのマーケティング支援をされている企業は複数あるのですが、たとえばInstagram関連のツールを開発している会社の場合はそのツールを提供するだけで終わることがありますし、テテマーチのようにツールを提供しつつ企画まで行う会社もあります。そのあたりは気にされましたか?
ーー安原さん:言われてみれば、結果的に気にしていたかもしれません。というのも、テテマーチさんを含めて4社を比較させていただいたのですが、そのうちツールだけを提供されて終わるような2社よりも、私たちに合った企画を提案してくださった2社さんに魅力を感じました。その魅力を感じた2社のうちの1社がテテマーチさんです。
ーー松重:それで、最終的にどうしてテテマーチを・・・?
ーー鈴木さん:私が感じたのは、Instagramへのリテラシーが低い私たちにも分かりやすい説明を松重さんが心がけてくださったところです。もう一社さんの場合はプロフェッショナルな雰囲気を出されていて、それはそれで「すごいな」と思ったのですが、どちらかというと松重さんのような温厚なタイプのほうが私たちと相性が良い気がしたんです。
ーー安原さん:確かにそれはあるかもしれません。それで、これからなにか困った時に気軽に相談できそうなのはテテマーチさんじゃないか?と鈴木と話をしていました。
ーー松重:ありがとうございます。良くも悪くも私は年下の社員からも日常的にからかわれるタイプの人間なので、たしかに声をかけていただきやすいのかもしれません。
ーー安原さん:あと、他の会社さんの場合だと消費者の方を喜ばせるアイデアを出されることは多かったのですが、テテマーチさんの提案はそれだけではなくて、小売の店舗の方やInstagramに投稿してくださるフォトコンテスト参加者の方々のことまで考えてくださって、プロモーション施策に関わる全員がハッピーになるイメージを持つことができたんです。
ーー松重:原田産業様のビジネスモデルとして、直接コンシューマーに商品を売っているわけではなくて、間に小売の会社さんがいらっしゃる点はInstagramでのプロモーション施策を実施する上で見過ごせないと思いました。
そのため、消費者への認知を上げるというのはもちろん中間目標としては掲げるけれども、原田産業様にとってメリットになることとして、まず「営業さんが小売店に提案しやすい施策になっているかどうか」は意識しました。
ちなみに、原田産業様としては今回の企画について「商品が売れるように」という視点と「営業担当者さんが小売店に売りやすいように」という視点のどちらをより意識されましたか?
ーー鈴木さん:最初はそのどちらを優先するか、ということはあまり考えていなかったのですが、施策を始めてから徐々に課題が見えてきたんです。それは、実績が出ていない施策についてはやはりバイヤーさんも不安になってしまう点で、だからこそまずは一般消費者の方々にファンになってもらって商品が売れることで、結果的にバイヤーさんにも選んでもらえるようにしていこうと考え始めました。
だから今回に関しては、施策の途中から「ユーザーに楽しんでもらおう」という視点に振り切ることにしました。
3.Instagram施策を始めて生まれた”社内コミュニケーション”
ーー松重:Instagramキャンペーンを開始する前後で社内の様子に変化はありましたか?
ーー安原さん:始まる前はけっこう大変でした。分からないことが分からないような状態だったので、その都度テテマーチさんには相談をさせてもらいました。
でも、やっとの思いでキャンペーンをリリースできて、続々と投稿が集まってくる様子を眺めるのはわくわくしました。社内でも「このワンちゃん可愛くない?」というコミュニケーションが生まれたこともありました。
ーー松重:週に1回のペースで「今週の推しワン」を選んでもらっていたと思うのですが、投稿数が多かったのでその中から毎週選ぶのは大変ではなかったですか?
ーー鈴木さん:いざInstagramキャンペーンが始まってみたら投稿数が想像以上に集まってしまって、嬉しい反面「コミュニケーションをしっかりと取ることができるかな?」と焦りました。(笑)
ーー安原さん:1日で100件を超える投稿をいただくこともあって、私も嬉しい反面、正直とても大変でした。次に似たような施策を行う場合は、今回の学びを活かしてしっかりと計画を立てたいです。
そういえば、キャンペーン公式アカウントのフォロワーが3000人ほどの時に、5000いいねがついた投稿もあったんですよ。
ーー松重:それはすごい!ということは、このInstagramキャンペーン施策が始まってからは社内でもワンちゃんに関する話題で盛り上がりましたか?
ーー鈴木さん:普段の業務で直接関わらないような方とも、この施策がきっかけで会話が生まれたことがありましたね。これは嬉しい誤算でした。
ーー松重:このキャンペーンについては社内で事前に情報共有されていましたか?
ーー安原さん:社内の掲示板でアナウンスをしました。それも社内のコミュニケーションを盛り上げることに繋がったと思います。
4.ユーザーから寄せられた「店頭で泣きました」というコメント
ーー松重:「わんダフル賞」が発売されて、ユーザーさんや社内の反応はいかがでしたか?
ーー安原さん:予想以上にユーザーの方からの反応は良くて、今回のInstagramキャンペーンで商品化した限定マスクのパッケージを見て「店頭で泣きました」というコメントをInstagram上に投稿してくださった方も居ました。
ただ、これは実は応募された投稿の中から賞を選出する私たちとしては、皆様からの投稿内容もしっかりと読み込んで、飼い主さんの想いも汲み取っていた結果かなと思います。というのも、賞に選ばせていただいた投稿の中には、たとえば生まれてすぐに亡くなってしまったというワンちゃんも含まれていました。
その他にも、もともと保護されていたワンちゃんを引き取って幸せに生活されている方の投稿も選ばせていただいたのですが、このようにテーマにしていた3つのコンセプトに加えて、しっかりとキャプション部分まで読んで、ストーリー性のある想いのこもった投稿を選ばせていただくことで、参加者の方に喜んでいただけると思ったんです。
実際に商品をただ出すだけではなくて、その商品がさらにユーザーによって自発的にInstagram上に投稿されている様子を見ることができて、企画が盛り上がってよかったなと思いました。
ーー松重:そこまで考えられていたんですね。たしかにInstagramなどSNSでは特に、ユーザーの反応を想像しながら施策を打つことは大切だと思います。
企業として初めて取り組んだInstagram施策における反省点
ーー松重:投稿が集まったところまでは良かったと思いますが、大切なのはその後ですよね。なにか反省点や改善点などはありましたか?
ーー鈴木さん:今回のInstagramキャンペーンについて、ある程度の盛り上がりは感じられたものの、私たちとしてはもう少し販売店舗の拡大ができればよかったと反省しています。欲しい人の手に商品が届かないという状況は良くないですしね。
ーー安原さん:たしかに、商品の配荷での改善点はありますね。Instagram上の反応を見ると、2時間かけてホームセンターまで商品を買いに行ったという方も居たんです。あとは、消費者の方からの問い合わせを受けて「商品を仕入れたい」という連絡をくださった会社さんも居たのですが、これまで私たちが築いてきた物流のルートと異なる方法で卸したので至らない点がありました。
次回以降はそのあたりも工夫して、より消費者の方に喜んでいただける施策にしていきたいです。
ーー松重:消費者の方だけではなくて、企業からそのような問い合わせを受けるようになったのは素晴らしいですね。営業担当の方は、今回の企画をうまく小売店さんに提案できましたか?
ーー鈴木さん:そこも課題の一つだと考えています。私としては絶対に盛り上がる企画だと思っていたのですが、社内においても幅広い世代の社員が居るので、やはりInstagramへの理解度にバラつきがあったんです。
ーー安原さん:あとは、弊社のお客様にもInstagramをされていない方が多くて、さらにこれまでのInstagram施策の実績もなかったので、なかなか伝わりにくいところもあったかなと思います。
ーー松重:確かにそうですね。ただ、今回の実績を次回以降の施策の提案に持っていけば、次回はポジティブな反応が得られそうですね。
ーー安原さん:今回の施策のリーチ数が2000万以上ということだったので、少なからずいい反応は得られるかもしれません。投稿も1万6千件ほどありましたし。
5.今後に向けて
ーー松重:今回のInstagramキャンペーンの振り返りと今後の取り組みについて教えてください
ーー安原さん:反響が想像以上にあって、直接消費者の方の声を聞くことができたのは良かったです。ポジティブな感想を直接受けることができるのはInstagramならではかなと思いました。
ただ、アカウントの運用を怠ったらフォロワーが減ってしまったので、運用にもっとリソースを割けるように余裕を持ちたかったです。
ーー鈴木さん:最初はいただいたコメントに対して素早く返せていたのですが、徐々にフォロワーが増えてくるとコメントもそれに比例して増えてしまって、対応が追いつかなくなるほどバタバタしました。
それで安原の言う通り、キャンペーンが終わって一息ついてアカウントの運用が後回しになってしまったので、フォロワーとのコミュニケーションが激減してしまいました。それは反省点です。
ーー松重:私たちとしても、まだまだ勉強不足な部分がたくさんあって、しっかりとフォローしきれなかったところもあるかもしれません。ただ、今は社内の体制もかなり整ってきたので、今後またなにか新しい取り組みにチャレンジされる際はぜひ相談していただきたいです。