日本のインフルエンサーマーケティングは遅れている?『20代マーケターが本音で語る!今とこれからのSNSマーケティングについて』イベント潜入レポ

インスタのイマドキ

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インスタアンテナを運営するテテマーチ株式会社より、SNS戦略室室長の福間がモデレーターとして参加させていただいたSNSマーケティングセミナー『20代マーケターが本音で語る!今とこれからのSNSマーケティングについて』の様子を一部紹介します。

イベント詳細

Twitter・Facebook・Instagram・Youtube・Tik Tok…。2018年現在、日本国内では様々なSNSが台頭し、スマートフォンの普及に伴いSNSの利用率も日々増加しております。

そのような中で、企業がマーケティング・プロモーション活動の一環としてSNSを活用するのが一般的になってきています。一方で、トレンドに乗じて「何かSNS活用をしてみたい!」を手を伸ばして見るものの、担当者がSNSに精通しておらず、上手く施策を進行できないようなケースも多く見られます。

今回、SNSマーケティングに精通する4名の20代マーケターが、今、そしてこれからのSNSマーケティングについて「現場の本音」を語るイベントを開催いたします。

※原文ママ(引用:https://peatix.com/event/425041

登壇者

当日はSNSマーケティング・SNSプロモーションに関わる4社から、それぞれ1名ずつ登壇しました。

福間 昌大(テテマーチ株式会社)

2017年1月テテマーチ株式会社入社。現在SNS戦略室室長。対企業向けにSNSマーケティング・若年層マーケティング等の企画・戦略立案を企業向けに担当。担当クライアントはアパレルメーカー・イベント・観光業界等の様々。また社内では、自社のSNS発信強化の取り組み等も行う。個人では「#若手うぇぶまーけ会」「#どちゃくそついったらー会」等の、若手マーケターの交流イベントの企画を実施している。
Twitter:@fukuma_1023
テテマーチふくままさひろ

小東 真人(株式会社ガイアックス)

2017年ガイアックス新卒入社。同社オウンドメディア「ソーシャルメディアラボ」の現編集長を務め、FacebookやPinterestなど大手媒体社への取材多数。扶桑社やブティック社など紙・ウェブ問わず記事寄稿も行う。またSNSコンサルタントとして食品メーカーから不動産、スポーツ団体など幅広く担当する。
Twitter:@gxsoc_kohigashi
ガイアックス小東

金濱 壮史(アライドアーキテクツ株式会社)

2014年アライドアーキテクツ入社。SNSマーケティングプランナーとしてエンタメ、金融、官公庁をはじめとした大手顧客のSNS戦略を支援。また、大学での講演や業界専門誌への寄稿等で、Instagram、インフルエンサーについての最新ノウハウを発信。共著に「いちばんやさしいInstagramマーケティングの教科書」(2016)
Twitter:@Kanahama
アライドアーキテクツ金濱

戸高 純(株式会社N.D.Promotion)

ITスタートアップBASEに新卒入社、2016年にN.D.Promotionに転職。女性メディア「Nomdeplume」の立ち上げ及びマネタイズを担当し、大手ナショクラなど新規顧客を多数開拓。直近では胸きゅんTwitterドラマ「とけないで、サマー」をプロデュースするなど、ミレニアル世代に向けた広告商品の開発なども行っている。
Twitter:@junpo_po
戸高純

フォロワーに求められるのは数ではなく質

モデレーターふくま
ーー福間:
さっそくパネルディスカッションに入ります。今回のハッシュタグは「#これからのSNSマーケ」です。
本日はSNSアカウント運用、インフルエンサーマーケティング、SNSプロモーションあたりを話せればと考えていますが、まず前提として”SNSマーケティング”という業界はまだ若く、各社競合しつつも同時に仲間意識を持っている特殊な状態です。そのため、より良いサービスを提供するためにお互いに情報交換し合いますし、お互いの得意分野を持ち寄ってお客様に最適なソリューションを提供することもあります。

それを踏まえた上で、本日はこちらに掲載されているテーマの中からいろいろとお伝えしていければと思います。
これからのSNSマーケお題

さっそくですが、何か質問がある方は居ますか?

ーーQuestion:
雑誌社に勤めている者ですが、紙媒体は衰退してきているため、SNSに力を入れたいと思って3ヶ月ほど前からtwitter運用を始めました。そこから4000フォロワーくらい増やせたのですが、懸賞目当てのフォロワーが増えてしまいました。そのため、フォロワーが増えたのは良いものの、そこから先が見えないという状態になってしまいました。今後のSNS運用についてなにかアドバイスはありますか?

ーー福間:
SNSマーケティングは、「フォロワーが増えて、じゃあどうするの?」という世界で、そこでつまづきがちですよね。しかし、これは「そもそもなんでアカウント作ったの?」という話でもあって、ソーシャルを始める前にある程度の方向性、目的を考えておかなければなりません。

ーー金濱:
メディアがTwitter運用をするのは難しいですよね。特にKPI設定が難しい。フォロワーを増やせばいいかというと、そういうわけでもない。広告でマネタイズしているメディアだとPVを重視していると思いますが、自社アカウントからのメディア流入ってそんなに多くないんですよね。一方でWeb検索からの流入が落ちてソーシャルからの流入が増えているという話もよく聞きます。これはユーザーによる拡散の影響が大きいと思います。なので、フォロワーだけをKPIにすればよい訳でもありませんね。
とはいえ、SNSでの発信のベースになるフォロワーを増やすためにはキャンペーンは有効です。ただ、キャンペーンではフォロワーが少ない懸賞アカウントも多く集まるためけっこう毛嫌いされてしますが、日本には懸賞だけで生活しているような方はいないと思いますので(笑)彼らも顧客になり得ます。難しいところですよね。

ーー小東:
自分も仕事でオウンドメディアの運営をしていてソーシャルからの流入を増やしたいと思っていた時があって、特にTwitterからの流入が欲しかった時期があります。いま編集長を務めている「ソーシャルメディアラボ」はTwitterの公式アカウントのフォロワーが12000人くらい居ますが、ここまで増やせたのはソーシャルの勉強をしている人のツイートにいいねをしたり、読者にお礼をし続けたりした地道な努力があったからで、そこで相互フォローになった人が記事を拡散してくれてるようになりました。

こひさん

ーー金濱:
結局、SNSのフォロワーを質の観点でどう捉えるかではないかと思います。数のみで捉えるべきではありませんね。

ーー福間:
そうですね。フォロワーは数ではなく質だと思います。たとえば、1万人のフォロワーを集めていくよりも、1000人のフォロワーを抱えているユーザー10人にフォローしてもらう方が情報は拡散されやすいし、そこから売上にも繋がりやすい。
つまり、自分のアカウントのフォロワーを増やすだけではなく、情報を拡散してくれるようなファンをいかに増やすのかが大切ではないかと思います。

ファンの熱量をいかに上げることができるか

ファンの熱量をいかに上げることができるか

ーー福間:
この流れで次のテーマに移りますが、インフルエンサーマーケティングについご意見いただけますか?

ーー金濱:
日本のインフルエンサーのマネタイズの仕方はどうなってるのかというと、案件がメインになっているかと思います。
先日中国のインフルエンサーを呼んでイベントを開催したのですが、そこでインフルエンサー事務所の社長に日本のインフルエンサーマーケティングは3年遅れていると言われたんです。
中国のインフルエンサーはセルフ・プロデュースのスキルが高く、日本とマネタイズが違います。そもそも中国のインフルエンサーは、いかに自分のブランドを上げるのか、そしていかにファンとの関係値を構築することが大切かという視点があります。よって、インフルエンサーは自分の影響力をうまく活用できていて、たとえば商品プロデュースなんかもできますよね。

ーー戸高:
フォロワーは数ではなくて熱量で、私の会社ではインフルエンサーのマネージメントをやっていますが、抱えているインフルエンサーに対してどのくらい熱量の高いファンを獲得させることができるのかというビジネス視点でのプロデュース能力、マネジメント能力が今の仕事をしている上で大切だと思いました。

ーー金濱:
その通りだと思います。中国で成功しているインフルエンサーに共通しているのはマネジメント能力で、彼らに求められているスキルは経営者と同じです。もう、ただ単に「かわいいから影響力がある」という時代ではなくなってきています。インフルエンサーにはカリスマ性が大切ということです。
また、中国のインフルエンサーはKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれていて、ちゃんと自分の意見(オピニオン)を持っています。ただの広告塔ではないんですよね。

ーー戸高:
たしかに、かわいいだけでは一発屋の要素があります。長く仕事を受けるためには、やはりインフルエンサーとしての自身のプロデュース能力が大切ではないでしょうか。自分のブランドを高めることができれば横展開が可能になりますので、セルフ・プロデュース能力は今の日本のインフルエンサーに求められていることだと思います。

じゅんぽ

ーー福間:
その文脈でいうと、小東さんの「靴磨きブランド」はうまいと思います。

ーー小東:
私は学生の時に革靴の販売員をやっていて、そこで靴磨きもやっていました。その関係で靴磨き専用のTwitterアカウントを作って情報発信を始めました。Twitterやnoteなどで靴磨きのノウハウを共有していたところ徐々に人気が出て、「今度一緒に商品を作らないか?」とファッションブロガーの方々から声をかけていただいたのがきっかけで作ることになった商品は2週間で30個完売しました。
正直、私自身のTwitterのフォロワーは少ないものの、自分発信で商品が売れているのは事実で、これは熱量がポイントではないかと思います。
私の場合、自分がKOLになれるものは何だろうと考えたときに、学生時代にアルバイトの店員として熱心に取り組んでいた革靴の手入れだったということです。

ーー福間:
同じ5万フォロワーでも、旧型インフルエンサーとKOLではリーチが全然違いますよね。ディフュージョナー(拡散力のある人)とインフルエンサー(影響力のある人)は違うということです。
少し話は変わりますが、実はSNSのバズはSNS起点ではないことも多くて、意外とOOHが起点になることがあるんです。たとえば、最近ではフローフシの例が挙げられますよね。

ーー金濱:私が気になったのは、Hi-STANDARDのプロモーションです。新曲のバンドスコアが、まだ音源が世に出る前に駅構内に貼り出されたんですよ。
(参考:Hi-STANDARD「THE GIFT」の巨大バンドスコアが駅構内に登場
他にも、ケンドリック・ラマーが黒塗り広告を霞が関に掲載したのも記憶に新しいですよね。
(参考:ケンドリック・ラマーの黒塗り広告が突如、霞ヶ関駅&国会議事堂前駅に出現

このように、商品パッケージやOOHなど、ユーザーがシェアしたくなる余白をどう残すかが重要ではないでしょうか。
また、最近はプロダクトの差別化が難しくなってきたと思います。そのためブランドの思想やビジョンの共感を促すことが大切ではないかと。たとえば、自動車メーカーのスバルやマツダはそのあたりを大切にしていると思います。
これからは大手企業であれ一対一のファン化が大切になってきていて、最近はこのモデルのプロモーションが増えてきた気がします。

ーー福間:
僕で言うと、友達がキャップを作った時にその理念や想いを聞いたんですが、確かにそれに共感してそのキャップを買いました。これはまさにファンベースの考えに通じるものがあって、これこそがブランドの価値ではないかと思います。

これからのSNSマーケティング

これからのSNSマーケティング

ーーQuestion:
クライアントが直接インフルエンサーにタッチできる今、SNSマーケターというポジションの価値が問われているのではないでしょうか?

ーー金濱:
これからは、SNSを超えてマーケティングの設計ができる人材の価値が上がってくるのではないでしょうか。SNSの仕事って細かい確認や調整が多く忙殺されがちですが、これからはオペレーションはプロダクトや機械に任せて、しっかり設計にエネルギーを注ぐ状態を作る必要があると思います。

ーー福間:
抱えているインフルエンサーに関して適当なマネジメントをする会社は淘汰されていきます。インフルエンサー自身の価値も上げるようなキャスティングができるマーケターは価値が上がっていくでしょうね。

ーー戸高:
「個人の時代だから芸能事務所も必要なくなるのではないか」と思われるかもしれませんが、事務所に勤める私の意見では、事務所に入っていることで信用が得られることもあるのは事実ではないかと考えています。
だからこそ、インフルエンサーをちゃんとマネジメントしている事務所は生き残るし、逆にいうと、ただ案件を横流しするような事務所は必要なくなっていくと思います。

ーー金濱:
それに関連して以前にバズった私のツイートを紹介させていただきたいのですが(会場笑い)、こちらはインフルエンサーにとっても好ましくない事例かもしれません。

インフルエンサーがこれから求められているのは「自己管理能力」で、インフルエンサー自身がそのブランドをよく理解し、「この案件を受けることであなたの市場価値が上がります」といった提案だけを精査して仕事を選ぶことで、インフルエンサーとしての市場価値が上がり続けるのではないでしょうか。

総括

ーー福間:
今回のイベントは、広告を一切出さず登壇者とその関係者のSNS上での告知のみだったのですが、3日で80人の席が埋まってしまいました。ちなみに、このようなイベントはテテマーチの場合メルマガで宣伝するのですが、約1万人のリードに対して30人程度を集めるのがやっとです。
そのため、お金を使わずに集客できたのはSNSマーケティングをやっている我々としては嬉しい事実で、自分たちも話をしていて楽しかったです。

ーー小東:
今までインフルエンサーマーケティングに関わる方と話す機会がなかったので楽しかったです。SNSマーケターはもっといろんな人たちと情報交換して、幅広いマーケティング施策のアイデアを取り入れて、俯瞰して物事を考えられる人が活躍できるのではないかと思います。

ーー金濱:
今日は思ってることをただ話しただけになってしまいましたが、もう1回同じイベントを開催してもまたその時考えていることを話せそうですね。ただ、今日の心残りは「#これからのSNSマーケ」がTwitterのトレンド9位止まりだったこと。リベンジしたいですね。

ーー戸高:
私も楽しかったですね。お酒を飲みながら話したので普段は言えないようなことも言ってしまったけれど、みなさんのお役に立てたら幸いです。

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