【イベントレポート】「Insta Shopping Weekend」から学ぶ企業によるインスタグラムのショッピング機能活用法

インスタレポート

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2019年6月8〜9日にInstagramのショッピング機能をテーマにした期間限定イベント『Insta Shopping Weekend(インスタショッピングウィークエンド)』が開催され、それに先駆けてInstagramからプレス向けにショッピング機能の最新動向を解説するセッションが行われました。
そこで今回は、このイベント内で行われたパネルディスカッション『ショッピング機能でビジネスを伸ばす方法』の内容をレポートします。
Instagramをうまく運用している企業がどのようにショッピング機能を活用しているのかご紹介しますので、ぜひ今後のアカウント運用の参考にしてみてください。

目次

1.イベント概要

今回開催された『Insta Shopping Weekend(インスタショッピングウィークエンド)』は、日本におけるショッピング機能のローンチ1周年を記念した、期間限定イベントです。
ショッピング機能をテーマに、ファッションやビューティ、雑貨・小物、食品など国内外の個性豊かな8ブランドが参加しました。それに先駆けてプレス向けイベントが行われ、『ショッピング機能でビジネスを伸ばす方法』についてパネルディスカッションが行われました。

2.登壇者紹介

パネルディスカッションでは、ショッピング機能を活用しているブランドであるBASE、BOTANIST、COHINAからそれぞれの担当者様が登壇しました。

BASE株式会社 執行役員 BASEプロダクトマネージャー 神宮司誠仁さん

BASE株式会社 執行役員 BASEプロダクトマネージャー 神宮司誠仁さん

BASEについて

個人から法人、行政まで誰でも利用できるネットショップ作成サービスを提供。
独自の決済システム「BASEかんたん決済」を構築することで、Eコマースの課題となっていた決済機能の導入にかかる審査期間を短縮。また、“お母さんも使える”をコンセプトに、専門的なWebサイト構築やWebデザインの技術を使わずに、誰でも簡単にデザイン性の高いEコマースサイトが作成できる仕組みを提供している。

BASE公式ホームページ
公式インスタグラム:@baseec

株式会社newn COHINAディレクター 清水葵さん

株式会社newn COHINAディレクター 清水葵さん

COHINAについて

XS〜Sサイズに特化したオンラインアパレルブランド。2017年11月に表参道を拠点として創業し、2018年に正式オープン。デイリーで使えるベーシックアイテムを中心に、綺麗めテイストのアイテムをEC限定で展開している。

COHINA公式ホームページ
公式インスタグラム:@cohina.official

株式会社I-ne ブランディング事業部本部長 今井新さん

株式会社I-ne ブランディング事業部本部長 今井新さん

BOTANISTについて

植物が持つ豊かさと科学の最適なバランスを追求し続けるボタニカルライフスタイルブランド。ボタニカルスキンケア・ボタニカルシャンプー・ボタニカルボディーソープなどの植物由来配合の化粧品と、生活雑貨を取り扱っている。

BOTANIST公式ホームページ
公式インスタグラム:@botanist_official

3.パネルディスカッション『ショッピング機能でビジネスを伸ばす方法』

パネルディスカッションでは、主に

  • ショッピング機能を導入した理由
  • ショッピング機能を導入して感じた効果
  • 売り上げにつながるアカウント運用のコツ

について各担当者の方のお話を聞くことができました。

3-1.ショッピング機能を導入した理由

ーーそれでは早速質問に入っていきたいと思います。お三方とも日本で導入された初期からショッピング機能をお使いいただいていると思うのですが、導入を決めたきっかけはありますか?

株式会社I-ne ブランディング事業部本部長 今井新さん

ーー今井さん(I-ne):
弊社はInstagram自体をかなりプライオリティーの高いコミュニケーションツールとして考えています。
Instagramは認知という部分では効果があったのですが、購入という部分にはやはり課題を感じていたため、発見からよりスムーズに購入していただける方法を模索していました。
アメリカでショッピング機能が導入されたというニュースを耳にして、ユーザーが直感的に購入できる機能だなと思っていたためなるべく早く試したかったので、テスト時から導入させていただきました。

ーーなるほど。清水さんはいかがですか?

ー清水さん(newn):
アメリカのブランドが使っていたのをユーザーの立場として目にしており、ぜひ利用したいと思っていたため、昨年のローンチ初日から導入させていただきました。
アパレルブランドはアイテムの数がどんどん増えていってしまうため、お客様が商品を探すのが難しくなってしまうのが課題でした。今まではプロフィールのURLくらいしか遷移できるものがなかったため、アイテム数が増えてもお客様がすぐに特定の商品にリーチできる機能が必要だというのは課題として感じていました。

ーーありがとうございます。BASEではInstagram販売Appを提供し、ショップオーナーのショッピング機能の導入をサポートされています。どのような経緯でAppの提供をきめられたのでしょうか?

ーー神宮司さん(BASE):
BASEでは、全体で見ても以前からInstagramからショップへの流入数は非常に多かったのですが、やはりプロフィールに記載されたURLをタップして遷移するというのはあまりシームレスとは言えなかったため、ショッピング機能があればより投稿から購入までがスムーズに行えるのではと思い、導入をサポートするAppの提供に至りました。

3-2.ショッピング機能がもたらす効果

ーーなるほど。ショッピング機能を実際に導入してみて、どのあたりに効果を感じているのでしょうか?

ーー今井さん(I-ne):
弊社ですと、Instagramからの流入が約7倍になりました。また、特徴的なのは、Instagramのショッピング機能から購入していただいたお客様のLTV(ライフタイムバリュー)が通常に比べて3倍になったことです。
Instagramから購入いただくお客様は、ブランドの世界観にしっかり共感して商品を購入いただけているのかなという印象です。

ーー清水さん(newn):
流入としては徐々に増えてきていて、現在はInstagram内の流入の10%ほどを補ってくれています。
特徴的なのは、CVR(コンバージョン率)が高い傾向にあることで、ストーリーズやプロフィールからの流入と比べて130%ほどと、比較的CVRが高いです。

ーーそれは面白いデータだと思うのですが、どうしてなのでしょう?

株式会社newn COHINAディレクター 清水葵さん

ーー清水さん(newn):
アパレルブランドは写真との相性がいいため、ショッピング機能は投稿から商品を見てすぐに購入しやすいので、ストレスなく購入までしていただけるのかなと思います。
投稿を見る中で、Instagram内だけでユーザーの商品理解が高まっているように感じます。

ーーまた、ショッピング機能を導入してお問い合わせが減ったという声をお伺いしたのですがいかがでしょうか?

ーー清水さん(newn):
そうですね。やはり洋服だとコーディネートで投稿することが多いため、メインで紹介したい商品以外に対する「合わせているのはどの商品ですか?」というお問い合わせが多かったのですが、ショッピング機能をつけている投稿はつけていない投稿に比べてそういったお問い合わせがかなり少ない傾向にあります。

ーーなるほど。BASEさんでは、ショップオーナーさんからの効果があったという声はありましたか?

ーー神宮司さん(BASE):
BASE全体としてもInstagramのトラフィックがどんどん増えているというのはありますし、活用している店舗さんのほうが売り上げが増えている傾向にあると思います。

3-3.売り上げにつながるアカウント運用のコツとは?

ーーありがとうございます。では、「どうすれば本当に売り上げにつながるのか」というのは多くの企業さんにとっても気になるポイントだと思うのですが、1年間運用されてみてわかったコツはありますか?

ーー今井さん(I-ne):
商品開封体験の投稿はやはり人気があります。「#unboxing」ですね。
また、ストーリーズで新商品の先行販売のティザーを流すと反応がいいです。ティザーではショッピング機能をつけずに、「何時何分に先行販売開始」といった告知を流しています。ストーリーズはフィード投稿に比べてラフに利用できるため、ティザーとの相性がいいのかなと思います。

ーーなるほど。清水さんはなにかコツなどありますか?

ーー清水さん(newn):
1年間ショッピング機能を利用してみて、カルーセル投稿でカテゴリーごとに商品の写真を投稿したものは相性がいいなと思います。

カタログを見ている感覚で投稿を見て、「いいな」と思ったものはすぐに商品詳細に飛べるというのはシームレスですし、実際に数字も良かったです。

ーーなるほど。カルーセル投稿では、「1枚目にはタグはつけない」といったこだわりはあるのでしょうか?

ーー清水さん(newn):
「タグをつける・つけない」にこだわるというよりは、1枚目には引きのいい写真を持ってくるようにしています。タグをつけるかどうかはそこまでこだわっていません。
また、カルーセル投稿では同じ商品の別カットを並べるのではなく、違う種類のアイテムの写真を複数枚並べるようにしています。
お客様もサイトで見ているときに比べて、Instagramでは商品を受動的に見ているので、気になった商品にすぐアクセスできるというのはシームレスでいいなと思います。

ーーありがとうございます。COHINAさんはInstagram内の様々なツールを活用してくださっていると思うのですが、ショッピング機能以外のツールはどのように使っているのでしょうか?

ーー清水さん(newn):
1番使っているのはライブ配信機能で、ほぼ365日、この間は400日連続でお正月も休まず配信しました。

ライブ配信の様子

ーー400日!それは時間を決めて配信しているのですか?

ーー清水さん(newn):
そうですね、曜日ごとに時間を決めて配信しています。ライブ配信はお客様との重要なコミュニケーションツールとなっており、実店舗の代わりとして、お客様が気になっている点を解消するために見に来てくださっています。
お客様から「このアイテムを着てください!」「こんな着こなしをしてください!」というリクエストをいただいて、様々な体型や身長のライバー(ライブ配信に出演する人)が商品を着てライブ配信をしています。
コメントでの「生地感はどうですか?」といった細かい質問にも応えていき、お客様とのコミュニケーションツールになるだけではなく、実際に購入につながるものになっています。

ーーありがとうございます。BASEさんではショップオーナーの方はどのような活用の仕方をしているのでしょうか?

BASE株式会社 執行役員 BASEプロダクトマネージャー 神宮司誠仁さん

ーー神宮司さん(BASE):
BASEでは実店舗を持たないショップオーナーさんが多いので、お客様とのコミュニケーションツールとして活用している方が多いです。ストーリーズ内で質問を募集してそれに答えたり、ライブ配信をしたりと、コミュニケーションに特化して活用しているオーナーさんが多いですね。

ーーなるほど。BOTANISTさんは、Instagramを主要なツールとしてお使いいただいているとのことなのですが、コミュニケーションという面ではどういった活用をしているのでしょうか?

ーー今井さん(I-ne):
Instagram上でブランドの世界観を伝えてファンになってもらうのはもちろんですが、「どんな香りが好きですか?」「こんな商品あったらいいなというアイデアをください」などという質問をユーザーに投げかけて、商品開発の参考にしています。
実際にストーリーズ投稿でお風呂での過ごし方を調査し、バスソルトの商品化が決まりました。

ーー清水さん(newn):
COHINAでもストーリーズやライブ配信で欲しい商品や身長が低いからこそのお悩みをユーザーから募集し、商品開発の参考にしています。
また、サンプルとしてできあがった商品を着てライブ配信を行い、「もっとこうしてほしい」というお客様の声を商品に反映させたり、インスタライブで生地選びをしたりしています。
この間は、ライブ内で柄を選んでからストーリーズで形を決めて商品化したり、名前をライブ内で2択まで絞ってさらにストーリーズでアンケートをとって決定したりしました。

パネルディスカッションの様子

ーーありがとうございます。それでは最後に、今後Instagramに対して期待することはなにか教えてください。

ーー今井さん(I-ne):
ライブコマースです。需要はあると思います。

ーー清水さん(newn):
そうですね。COHINAでもライブ配信をした新作は人気が高いのですが、今のところライブ配信から購入までの流入が困難で、ライブ内でしっかり商品名を伝えるなどの工夫をするしかない状態なので、ライブ配信内で商品をすぐに買うことのできる機能ができたらすごくありがたいです。

ーー神宮司さん(BASE):
BASEでは、ショップオーナーさんから「Instagramと連携してから利用できるようになるまでの申請の進捗がわからない」という声が多くあるので、申請時にユーザーがどの段階にいるのかがわかりやすくなるとありがたいです。

4.まとめ

ショッピング機能を活用している企業では、目に見える数値で確実に効果がでていることがわかりました。
ユーザーの購買行動をシームレスにすることで、Instagramの投稿を売り上げに直接つなげることができるようです。
効果を最大化するには、普段のアカウント運用でユーザーとコミュニケーションをとり、ブランドのファンを作ることが重要です。
ぜひ各企業の運用方法を参考に、ビジネスにつながるアカウントを目指してみてはいかがでしょうか。

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