国内月間利用者数が2900万人を超え、ユーザーと企業との距離が最も近いSNSといっても過言ではないInstagram。
今回、社内全体でSNS運用に力を入れて取り組まれている人気アパレル企業、アダストリアさんを取材しました。
SNSとの向き合い方や社内全体を巻き込んでの施策、話題の新コンテンツなど流行の最前線にいるアダストリアさんの最新情報をご紹介します!
目次
目次
1.アダストリアについて
IGTVでオリジナルドラマを配信し話題になったHeatherをはじめ、グループ全体で20を超えるブランドを展開されているアダストリアさんが運用している31の公式アカウントのフォロワー数は、のべ2,664,402人にのぼります。(2018年10月現在)
ーー参考:「インスタグラムでドラマ配信!アパレルブランド”Heather”の狙いとは」
今回はデジタルマーケティングチームの川村さんに、社内全体のSNSに対する取り組みについてお話を伺いました!
2.今までの取り組み
アダストリアさんがInstagramをはじめとするSNSとどのように向き合い運用されているのか、そして社内全体を巻き込んでSNS運用に取り組めている理由について伺いました。
2-1.Instagramとの向き合い方
ーーー現在グループ全体で活用しているメディアを教えてください。
川村さん:
現在はInstagram、Twitter、Facebook、LINE、YouTubeを活用しています。
その中でもInstagramは、ファッションに関する影響度が高く、ブランドがターゲットとしている世代のユーザーが多いので特に力を入れて運用しています。
ーーーグループ全体でいつからInstagramの運用に取り組んでいらっしゃいますか?
川村さん:
Instagramが登場した2014年から運用をしています。
運用を始めた当初はアイテムの紹介等のシンプルな投稿をしていました。現在はInstagramがより多くのユーザーに使われるSNSになり、更にファッションと親和性があると感じているので戦略的に運用をしています。
ーーーInstagramを活用するにあたり、デジタルチームで意識していることはありますか?
川村さん:
Instagramの新機能を一番最初に活用することです。
機能アップデートにより、私たちが発信できる情報のカテゴリと表現の幅が広がりました。それと同時に、ユーザーのInstagramの使い方も友達と交流するだけでなく、ブランドを知るメディアとしての利用をするケースも増えてきました。
このような変化の情報を素早く収集し、私たちはお客様が求めている情報を常に発信することを心がけています。
ーーー変化が激しい流行やトレンドの情報のキャッチアップは、具体的にどのように行なっていますか?
川村さん:
私たちデジタルチームでは、一人一人が常にアンテナを張り、頻繁に情報を共有しています。
それに加えて、プレスから共有されたモデルさんや店舗の公認インフルエンサー、お客様からの声に耳を傾けて情報を収集しています。
2-2.社内全体を巻き込めた理由
ーーー社内全体を巻き込みながらSNSを盛り上げていくことに成功した理由を教えてください。
川村さん:
最初から全体を巻き込めた訳ではありません。
マネタイズポイントが見えにくいSNSの活用は、社内全体の理解を得るまでに膨大な時間がかかりました。
今こうして社内全体で取り組みが強化できているのは、2つの要因があると考えています。
1つ目は、昔からInstagramに関わらず、その時代ごとの最新のSNSやメディアの情報は常にチェックして取り入れるという文化が会社にあることです。
2つ目は、社員の身をもった経験の積み上げです。
Instagramを見てご来店してくださったというお客様の声やインスタライブで紹介したアイテムの売り上げが伸びるという現象、公認インフルエンサーのファン増加による集客などのSNS活用による現象の積み重ねで、だんだんと社内の理解が広まったと考えています。
また、Instagramインサイトが導入され、SNSによる影響が数字として可視化できるようになってからマネタイズポイントがわかりやすくなりました。
具体的には、投稿の保存数と売り上げは相関していることが分かりました。実際に保存数が多い投稿で紹介されたアイテムが売れる現象が多く見受けられます。
3.新しい取り組み
アダストリアさんは9月から新たなコンテンツをスタートされています。こちらに伴い、社内では様々な取り組みを実施しているようです。詳しくお話を伺いました。
3-1.個人の世界観を重視した新しいコンテンツ
ーーー現在行われている新しい取り組みについて教えてください。
川村さん:
ブランド公式WEB STORE内で、スタッフが主役の、スタイリングコンテンツ「STAFF BOARD(スタッフボード)」を9月からスタートしました。
その中の一部のスタッフに関しては、個人のInstagramとも連携される仕組みになっています。
URL:http://sb.dot-st.com/staff-board/style/(スマホのみ)
ーーーこのコンテンツをはじめた背景を教えてください。
川村さん:
ブランドからの情報発信より、スタッフ個人からの情報発信の方がお客様との結びつきが強いと感じたことがきっかけです。
お客様からスタッフ個人のInstagramに商品のお問い合わせをいただくことが多く、購入のきっかけもスタッフのスタイリング投稿が影響していると感じていました。
スタッフ個人の力を最大限に活かし、「このスタッフが作るスタイリングが好き」、「このスタッフのようになりたい!」と本コンテンツを通じて、多くのお客様に思ってもらいたいと考えます。
3-2.スタッフの新しい評価について
ーーースタッフ個人によるSNSの取り組みを会社としてどのように評価されていますか?
川村さん:
今回新たにバニッシュスタンダードさんのスタッフスタートというシステムを取り入れました。
スタッフボードとInstagramの個人ページ経由の売り上げや訪問数を可視化できるシステムで、こちらをもとに評価とフィードバックを行なっています。
店頭での接客が最優先でありながら、Instagramへの投稿とコメント、DM対応を行なっているスタッフ個人の努力が報われることをやりたいと思ったのがきっかけです。
今後もスタッフがアダストリアで活躍できてよかったなと思う仕組みを作っていきます。
3-3.インフルエンサーによる社内勉強会開催
ーーー社内ではどのような勉強会が開催されていますか?
川村さん:
今までは代理店やメディアに来ていただき、広告や流行りのSNSについての勉強会を行っていましたが、スタッフ個人の発信力を伸ばしていくために今年は2名のインフルエンサーさんによる勉強会を開催しました。
1人目は、様々なSNSでファッションやコーデを投稿しているげんじくんにお越しいただき、SNSの使い分けやWEARで効果的な撮り方などを、げんじくんならではの視点で様々なお話をいただきました。
2人目は、モテクリエイターのゆうこすこと菅本裕子ちゃんにお越しいただき、お客様から共感してもらえる投稿についてゆうこすちゃん自身が日頃意識しているテクニックを教えていただきました。
勉強会の参加者はプレスやEC担当だけに留まらず、事業部長や店舗店長など幅広く、勉強会を重ねる度に社内のSNSへの関心と理解が深まっている印象を受けました。
ーーー参加された方の反応はいかがでしたか?
川村さん:
アンケートではポジティブな内容が多く見受けられました。
今まではお客様が投稿をどう捉えているかまで理解できず、お客様の気持ちを中心に置いたときにどのように情報を発信していくべきかを考えるきっかけになったという声が多くありました。
また、他の方の話も聞きたいという次につながる声も多くありましたので、今後もこのような機会をどんどんつくっていきたいです。
4.まとめ
編集部:
SNSがファッションと親和性が高いことにいち早く気づき、IGTVによるドラマや公認インフルエンサーなど様々な取り組みをされているアダストリアさん。
スタッフ個人にスポットライトを当てた新コンテンツのリリースに伴い、新しく一人一人の努力がきちんと評価される制度を導入されています。
SNSのフォロワーにただ商品を売るのではなく、いかに写真と文章でお客様の信用を勝ち取るか、これからは個人の力が重要視されるのではないでしょうか。
今後もアダストリアさんの取り組みに目が離せません!