「観光事業をもっと盛り上げたいけれど方法が分からない」、「なかなか成果が出ない」と悩んでいる自治体の方は多いのではないでしょうか。全国に地域の魅力を知ってもらうのは、決して簡単な事ではないですよね。
そこでこの記事ではそれらの問題の解決策として、2年連続Instagramキャンペーンを実施して観光事業を盛り上げることに成功した、栃木県県央地域分科会の例をご紹介します。今回は、宇都宮市観光交流課の方にキャンペーンの内容や反響を詳しく伺いました。
目次
1.自治体によるInstagramキャンペーン
まずは、宇都宮市観光交流課について簡単にご紹介します。
栃木県県央地域分科会は、2018年に国内最大規模の観光キャンペーンである「デスティネーションキャンペーン(通称DC)」にあたり、その先駆けである2017年のプレDC期間中に、宇都宮市観光交流課が中心となり1回目のInstagramキャンペーンを実施しました。
プレDC中の反響が大きかった事から、2018年のDC期間中に2回目のInstagramキャンペーンを実施し、地域の魅力を発信することに成功しました。この事から、宇都宮市を含む7市町は、Instagramを上手く活用して地域の魅力発信に繋げることができたと言えるでしょう。
2.栃木県県央地域分科会のInstagramキャンペーン
ここからは、宇都宮市観光交流課の方にDCに際してどのような理由で、どのようにInstagramを活用したのか、直接伺ったお話をご紹介します。
2-1.デスティネーションキャンペーンって何?
ーーまずは、デスティネーションキャンペーンとは何かを教えて下さい。
宇都宮市観光交流課:
デスティネーションキャンペーンとは、地域(地方公共団体や企業など)とJRグループ6社(北海道・東日本・東海・西日本・四国・九州)が協働で取り組む、国内最大規模の観光キャンペーンのことです。活動としては、全国の駅や列車へのポスター掲出、テレビコマーシャル等の広告宣伝、旅行会社に対する商品造成に向けた販促活動などが展開されます。開催期間は3か月間で、前年同時期を「プレDC」、翌年同時期を「アフターDC」と称し、キャンペーン開催前後3年間に渡って活動が行われます。
ーーそもそも、今回のDC期間中にInstagramキャンペーンを実施した理由を教えて下さい。
宇都宮市観光交流課:
2018年に国内最大規模の観光キャンペーンであるDCが栃木で行われることが決定してから、栃木県内でDCに向けた新たな共同事業を実施することになりました。その際に、個性的な観光資源を有する県央地域への集客に向けた新たな魅力の発信が必要と感じ、拡散力の高いSNSを活用することにしました。数あるSNSの中でも、Instagramは写真がメインであり魅力を発信する上で一番効果的なツールだと感じ、Instagramキャンペーンを実施しました。
2-2.初めてのInstagramキャンペーンの反響
ーー本キャンペーン期間だけでなく、2017年のプレDC期間中にもInstagramキャンペーンを実施したのは何故ですか?
宇都宮市観光交流課:
DC開催前年のプレDC期間においては、
- 地域の魅力を、個々の視点から広く発信することを促す
- 新たな観光資源の掘り起こしや、フォトジェニックな画像による情報発信を行うことで、観光資源の認知度向上による誘客促進
- キャンペーンをきっかけとした地域内の周遊促進
などの多くの効果が期待できることから、Instagramを活用したフォトコンテストを実施することにしました。
ーーそんなに多くのメリットが感じられると確かに魅力的ですね。実際に初めてのキャンペーンの反響はどうでしたか?
宇都宮市観光交流課:
キャンペーンを5ヶ月間実施したところ、総投稿数1,152、総いいね数66,139という結果が出て、これまで実施してきた共同事業の中でも特に多くの反響があり、Instagramならではのキャンペーンの広がりを実感しました。また投稿者については、地元住民はもちろん、飲食店等の民間施設の方々からブロガーの方までバラエティに富んでいて、様々な魅力の発信につながっていると感じました。
2-3. 初回を遥かに上回った2018年のInstagramキャンペーン
ーー2018年のDC本番に、再度Instagramキャンペーンを実施しようと考えたのはなぜですか?
宇都宮市観光交流課:
2017年度のInstagramキャンペーンの反響が大きかったことや、関係者から継続実施を望む声が寄せられたこと、2017年の流行語に「インスタ映え」という言葉が選ばれユーザー数も増加していたことなどから再度実施することにしました。
ーーなるほど。実際、2018年のDC期間にフォトコンテストを開催してみて効果や反響はいかがでしたか?
宇都宮市観光交流課:
昨年と同期間キャンペーンを実施しましたが、総投稿数は1,562(前年比35.6%増)、総いいね数は119,808(前年比81.1%増)と昨年を上回る投稿数といいね数を記録し、前回以上のキャンペーンの広まりを実感する事ができました。
食べ物やお花の写真だけでなく、DC特別企画として実施したイベントなどを撮影した投稿も寄せられ、地域の魅力の発信に繋がったと考えています。
2-4.両年度のInstagramキャンペーンの比較
ーー2017年と2018年で実施してみて、何か違いや差などは感じられましたか?
宇都宮市観光交流課:
投稿数といいね数の増加はもちろん、前回に比べて宇都宮市以外で撮影された投稿写真も増加し、県央エリアにキャンペーンが浸透していると感じました。
また、2018年は新たな試みとして「フォトジェニックライド」と銘打ち、自転車ツアーで写真を撮って当フォトコンテストに投稿するというコラボ企画を宇都宮市のDC特別企画として実施しました。
3.キャンペーンを振り返ってみて
3-1.Instagramだからこそできる魅力発掘
ーーInstagramキャンペーンを実施してみて、新しい気付きはありましたか?
宇都宮市観光交流課:
県央地域分科会の会議において、実施結果やプレゼントの当選者を報告しました。Instagramのキャンペーンを通して、あまり知られていない美しい風景の発掘や有名な観光地での様々な視点から撮った写真の投稿により、新たな魅力の創出に繋がったと考えています。
また、キャンペーンで集まった29年度の入賞作品を次年度のキャンペーンチラシに活用させていただき、投稿してくださった方に喜んでいただけるような工夫も行いました。
3-2.CAMPiN導入の決め手とは
ーー宇都宮市観光交流課では、今回のキャンペーンを実施するに当たって両年度ともCAMPiNを利用されていますが、導入を決めた理由はどのようなものでしたか?
宇都宮市観光交流課:
我々のInstagramについてのノウハウがない中、他の自治体等で実績のある当システムを利用する方が、管理や分析において他社のツールよりも利便性において優位であると考えて導入しました。
ーー実際にCAMPiNはどのような点が利用しやすかったですか?
宇都宮市観光交流課:
投稿写真一覧の見やすさ、サイト上の投稿写真の公開・非公開の容易さ、エクセルデータが出力できることなどが利用しやすかった点です。
3-3.多方面での Instagramの活用
ーー今回は、宇都宮市・鹿沼市・さくら市・那須烏山市・上三川町・高根沢町・那珂川町の7市町が共同した施策でしたが、各市町は今後Instagramの活用についてご検討されていますか?
宇都宮市観光交流課:
宇都宮市(宇都宮観光コンベンション協会)とさくら市がInstagramを活用しているほか、那須烏山市と高根沢町が加盟する烏山線沿線まちづくり推進協議会においてInstagramフォトコンテストを開催するなど、多方面で活用しています。
4.まとめ
編集部:
いかがでしたでしょうか。今回の栃木県県央地域分科会のInstagramキャンペーンの事例から、観光事業をInstagramキャンペーンで促進することは、地域の新たな魅力の創出にとても効果的だという事が分かりますね。
観光事業をもっと盛り上げたいけれど方法が分からないと悩んでいる方は、是非一度Instagramキャンペーンを実施してみてはいかがでしょうか。