12月12日(水)に「Instagramマーケティング勉強会 #2018年を振り返ろう 」が開催されました。
Instagramマーケティングについて、
- 今年実装された機能
- アカウント運用ノウハウ
- インフルエンサー施策
- キャンペーン
- 広告運用
の5つの軸で2018年度のトピックや事例を振り返りました。
目次
1.Instagramマーケティング勉強会とは
1-1.本イベントの趣旨
本イベントの目的は、2018年に「企業の中でInstagramがどのような立ち位置に変化したのか」また「マーケティング界でInstagramにどのような変動があったのか」を、この1年間にInstagramが行ったアップデートや様々な新機能をおさらいするとともに振り返ることでした。
1-2.イベントモデレーター
当日は、弊社COOの松重をはじめとする、Instagramに精通する豪華6名が登壇しました。
株式会社パスチャー 代表取締役 カイユリコさん
東南アジア向けアパレルコマース事業を運営するANELAでCEOを務めた後、2016年6月に株式会社パスチャーを創業、Instagram分析ツール「PONY」、インスタグラマーキャスティングサービス「ROOSTER」を運営。2000人が参加するFacebookグループ「Instagramマーケティング勉強会」を主宰している。
アライドアーキテクツ株式会社 マーケティング事業本部 金濱壮史さん
2014年アライドアーキテクツ入社。SNSマーケティングプランナーとして大手企業・官公庁向けにSNSマーケティングとファン施策の総合支援を担当する傍ら、大学でSNSマーケティングの講義や業界紙への寄稿、セミナー登壇等で最新ノウハウを発信。
共著「ひとりでも成果が出せる いちばんやさしい Instagramマーケティング(2016年12月)」
twitter:@kanahama
株式会社オプト ソーシャルメディア事業部 ソーシャルメディア・コンサルタント 橋本麻由さん
2017年4月株式会社オプト入社。 学生時代セレクトショップのブランド立ち上げに参画し、アパレル関連の知識・トレンドを強みとする。
アパレル企業を中心としたInstagramセミナーの企画立案・運営や、企業の社内向けInstagram勉強会を開催し講師を務め、現在はアパレルだけなく様々な業界に向けソーシャル活用の支援に従事。
株式会社オプト ソーシャルメディア事業部 ソーシャルメディア・コンサルタント 吉山美紀さん
女性向けブランドで約2年間勤務した経験から、アパレルを中心とした若者トレンドを強みとする。
2016年にグルメサイト運用会社に入社後、トピックス・プロモーションの企画や企業のSNS運用を担当。2018年4月に中途入社し、現在は食品メーカーやコスメの案件を中心にSNSコンサルティングを行う。
株式会社オプト ソーシャルメディア事業部 ソーシャルメディア・コンサルタント 佐藤帆奈美さん
2018年4月株式会社オプト入社。 学生時代は広告企画制作部に所属し、学内外問わず、広告やポスター、パンフレット等を制作。
オプト入社後は、食品企業を中心に、Instagramのコンサルティングやプロモーション企画を担当するなど、ソーシャル活用の支援に従事。
テテマーチ株式会社 取締役COO 松重秀平
テテマーチ設立と共に参画、ソーシャルメディア事業部を立ち上げる。
Instagramマーケティングを中心に大手企業から自治体まで様々なソーシャルメディアの活用支援を行う。
2.トークセッション「#2018年を振り返ろう」
2018年のInstagramマーケティングについて、先ほど述べた5つの軸をもとに各テーマをトークセッション型で振り返っていただきました。
また、イベント参加者はトークセッションの内容や考察を「#インスタマーケを振り返る2018」をつけてTwitterに投稿し、一緒に今年の1年を振り返りました。
2-1.今年実装された新機能
ーー佐藤さん:
この1年間で様々な新機能が追加されましたが、大きく分けてポイントが2つあります。
1つ目は、ストーリーズの機能拡張です。毎月のようにストーリーズ機能のアップデートが続いた理由として、ユーザーの活用頻度がフィードからストーリーズに移行したことが関係していると考えられます。ストーリーズの新機能を使って、ユーザーとライトなコミュニケーションを図ることが可能になりました。
2つ目は、Instagramの外への導線を引っ張ったアップデートが多かったことです。代表するものとしてショッピング機能やぐるなびの予約機能が挙げられます。
これらのアップデートにより、企業側がInstagramをよりダイレクトにマーケティング活用しやすくなったと考えられるでしょう。
ーー松重:
基本的にユーザーファーストな機能が多いInstagramですが、ショッピング機能など、企業が活用できる機能が増えた気がしますね。
ーー橋本さん:
そうですね。2018年のInstagramはコンバージョンに寄った広告プラットフォームとしてのアップデートが増えた年となり、もともと企業アカウントを持つ企業と持っていない企業で差が明確となったように思われます。
2-2.アカウント運用ノウハウ
ーー橋本さん:
ポイントは、ブランドの発信するメッセージが一方通行にならないようにすることです。
当たり前のことではありますが、ユーザー内の日々変わるトレンド情報を常にキャッチしてブランドと顧客がしっかりとコミュニケーションを図ることが重要となります。
ユーザーのトレンドの移り変わりとして、以下の点が挙げられます。
「インスタ映えの写真を投稿しなければいけない」という2017年に比べ、作り込み過ぎない自然な投稿や動画投稿が増えました。また、共感を得られたことがわかる機能として、保存数が挙げられました。
また、作り込み過ぎない投稿の1つとして、UGC(User Generated Contents/ユーザー 生成 コンテンツ)を使うことによって自分だったらこの商品をどのように使うかなど、ユーザー自身の生活に投影して考えるなど、”自分事化”がしやすくなり、より商品の購入に繋がりやすくなりました。
ーー松重:
なるほど。トレンドの移り変わりに伴って、企業が追うKPIの変化などはありましたか?
ーー佐藤さん:
KPIの指標として「保存数とコメントの質」が挙げられました。
ユーザーの思いや熱量をどのように引き出すかが、今後のアカウント運用において重要なのではないかと考えます。
ーー松重:
定量的な部分だけでなく、定性的な部分にもフォーカスを当てる必要がありますね。
2-3.インフルエンサー施策
ーーカイさん:
そもそもインフルエンサーPRとは、
- 新客獲得
- ブランドリフト
の2つが挙げられます。
商品訴求の主語が広告主から体験者に置き換えられたり、ターゲット層にマッチしたクリエイティブで訴求できるたりすることが魅力です。
2018年の動きとしては、
- なんとなく可愛い、フォロワーが多い、というだけのマイクロインフルエンサーが激減
- PR効果を考え、結果に繋げられる事務所以外が大幅に淘汰された
- PR目的での情報拡散だけでなく、実際に人や物を動かせる人がでてきた
以上の点が目立っていたように思われます。
また、「インフルエンサーD2C」と呼ばれる、ニッチ領域で根強く明確なファンを持っているインフルエンサーが登場した1年となりました。この効果を最大限に活かすために、自身のアカウントを起点に企画から生産、販売まで行う人が増えました。
ーー松重:
ズバリ、インフルエンサーキャスティングをする際のポイントはありますか?
ーーカイさん:
起用するインフルエンサーをなんとなくという曖昧な理由ではなく、明確なファンを持っているのかなど明確な基準のもとでしっかり判断して仕事を依頼することです。
インフルエンサー自身がブランドに対して熱を持っていれば、インフルエンサーのファンがブランドのファンになってくれるはずです。
今後は、何を支持されているのか、誰を動かせるのかが問われるようになってくるでしょう。
2-4.キャンペーン施策
ーー松重:
2018年はキャンペーンの数よりもキャンペーンの質が上がった印象でした。
ただフォトコンテストをやるだけではなく、1回のキャンペーンごとにしっかりと企画設計等のたてつけが綿密に考えられているものが増えましたね。
自社の事例として、「パケわんグランプリ」という商品パッケージを生かし、愛犬家を対象としたキャンペーンを企画して愛犬家へのブランディングを図りました。
また、店頭発表で当選者がわかる副賞を用意し、参加者の店頭来店を促しました。投稿数は16,000枚を超え、店頭で商品を探す参加者も多く商品新規取扱希望の連絡もメーカー側に入ってきました。
ーーカイさん:
キャンペーンは大きく分けて”参加ハードルが高いもの”と”参加ハードルが低いもの”に分けられると思うのですが、どのように使い分けていますか?
ーー松重:
まだフォロワーが少なく、アカウントとして力がない場合は参加ハードルの低いキャンペーンでフォロワーを獲得し、ある程度フォロワーがいて成熟している場合は、ユーザーの口コミの質を挙げていくキャンペーンをするなど、両方のバランスを見てキャンペーンを行っている会社が増えたように感じます。
この1年を通して、「キャンペーンをやれば何かしらアクションが起きる」という考えが通らなくなりましたね。
2-5.広告運用
ーー金濱さん:
広告運用事態に大きな変化はありませんでした。
今年のトレンドとして、以下に挙げたようなポジティブな面とネガティブな面がみられます。
- ユーザー数が2,900万人となり、広告媒体としてのInstagramの相対的価値は向上
- ストーリーズ広告のボーナスモードが終了し、「フィードに馴染む広告」の効果が減少
単なるUGCでは効果が上がらず、ある程度の訴求も重要になりました。
また、クリエイティブが多様化したのもトレンドの1つです。インスタ映えな写真から日常的な写真まで、そのユーザーによって何でも歓迎されるようになり、中立なプラットフォームとなりました。そんな中、クリエイティブの検証は量をこなさなければいけなくなったように感じます。一方でマーケターやデザイナーは、まだ変化に追いつけていない状況なので、やはりUGCを使ってPDCAを回すことが必要となってくるでしょう。
ーー松重:
フィード上で広告が浮かないためにも、いかにユーザーが投稿したクリエイティブに寄せるかが重要となってきますね。
3.イベントを終えて
いかがでしたでしょうか?
この1年でたくさんの機能がアップデートされ、特に
- Instagram外への導線が引っ張られるようなアップデートが多くされた
- UGCコンテンツを取り入れることで、自分事化しやすくなりより商品の購入に繋がりやすくなった
- 明確なファンを持ち、実際に人や物を動かせるインフルエンサーが登場した
この3点が大きく変わったでしょう。
ユーザーファーストな機能から企業側がよりダイレクトにマーケティング活用しやすくなったと言えます。
2019年もさらにたくさんの機能が増やされることでしょう。