Instagramを販促ツールとして活用する場合、様々な悩みがありますよね。
どうやってフォロワーを増やせばいいのか、投稿コンテンツはどうすればいいのか、そして、果たして本当に購買に繋がっているのか…。
ホームセンターの「カインズ」は、Instagramを販促ツールとして上手く活用している企業のひとつで、ハッシュタグキャンペーンを実施しフォロワー数を増やしたり、バラエティ豊かなコンテンツで幅広いファン層を獲得したりと、参考になるポイントが満載です。
売上や来店に繋がるInstagram運用の方法を模索している方や、フォロワー数を増加させる施策のヒントを得たい方は、必見のインタビューです!
目次
目次
- 1. カインズとは
- 2. Instagramで認知を獲得し、店舗へ送客
- 3. ハッシュタグキャンペーンがフォロワー増加の鍵
- 4. 多彩な切り口でファンを生むコンテンツ戦略
- 5. DM返信でも丁寧な「接客」を心がけ差別化
- 6.まとめ
1. カインズとは
1-1. 企業紹介
全国200店舗以上のホームセンターを展開する、カインズは、「くらしに、ららら」をコンセプトに毎日の生活が豊かに、そして楽しくなる商品を提案しています。
HP:https://www.cainz.com/jp/index.html
1-2. アカウント紹介
Instagramアカウント:@cainz_official
フォロワー数:15.6万人(2019年12月時点)
今回は、Instagramの運用を担当する中村さん、廣瀬さんにお話を伺いました!
2. Instagramで認知を獲得し、店舗へ送客
―――はじめに、Instagramの開設に至った経緯を教えてください。
これまで、「カインズ」をはじめとする小売企業では、紙のチラシが販促の中心的役割を担っていました。
しかし、近年WEBプロモーションが注目されていることや、SNSが急激にユーザー数を増やしていることを受け、弊社でも何か取り組みをしなければと感じ、2016年にアカウントを開設しました。
紙のチラシは、中高年齢層の方への販促手段として、引き続き活用しています。
一方で、Instagramは20代から30代の女性をターゲットとして運用しており、目的に応じて媒体を使い分けています。
実際のアカウントのフォロワー層も9割が女性の方で、20代後半から40代前半の方が多いため、Instagramで商品写真を投稿する際には、このフォロワー層に評判の良いものを中心に商品を選定しています。
―――Instagramの販促ツール化を目指し、アカウント開設に至ったとのことですが、実際にその効果は出ていますか。
そうですね。店舗スタッフによると、弊社のInstagramの投稿を保存したものをお客様からお見せいただき、売り場へご案内するような機会が増えているそうです。
Instagramのショッピング機能も導入しているので、オンラインでの購入も増えてはいますが、Instagramで商品を知っても、店舗で実際の商品を確認してから買われる方が多いと感じています。
また、コメントで「週末にこの商品を買いに行きます!」や「早速この商品をゲットしました」というお声をいただくことも多々あります。
―――Instagramを活用することで商品の認知を獲得し、オフラインでの購買を促進できているのですね。
3. ハッシュタグキャンペーンがフォロワー増加の鍵
3-1. 店舗のイベントに合わせてキャンペーンを実施
―――フォロワー数はどのように推移していきましたか?
アカウント開設当初は、フォロワー数が伸び悩んでいました。
フィードやストーリーへの投稿はしていましたが、フォロワー数が少なく、リーチやインプレッションが伸びなかったので、アカウントの存在自体が認知されておらず、フォロワーの新規獲得がしづらい状態だったのです。
そこで、まずはアカウントの存在を多くの方に知っていただく必要があると考え、ハッシュタグキャンペーンを実施しました。
ハッシュタグキャンペーンに応募してくださった方の投稿を、そのユーザーのフォロワーが見て、弊社のアカウントを認知してくださるからです。
例えば、昨年「#わたしのカインズデザイン展」というハッシュタグでキャンペーンを行いました。
ナショナルブランドのメーカーとコラボレーションし、オリジナルデザインの商品を提案する企画「カインズデザイン展」に合わせ、そのオリジナル商品の写真を、ハッシュタグを付けてお客様に投稿していただくというキャンペーンです。入賞者にはオリジナル商品やカインズポイントをプレゼントしました。
結果、500件近い投稿が集まり、多くの方へ認知を広げる企画になったと同時に、フォロワーの増加にも繋がりました。
―――ハッシュタグキャンペーンで、アカウントの認知を自然に拡大することができたんですね。
3-2. 自社と相性の良いインフルエンサーを選定
―――キャンペーンの告知はどのように行ったのでしょうか?
最初はアカウント内や、実店舗での告知を中心に行っていましたが、それだけではカインズを既に知っている方への告知に限定されてしまい、応募者数があまり伸びなかったため、インフルエンサーの活用も始めました。
インフルエンサーの起用にあたっては、「カインズに愛着を持っている方」「フォロワーとの活発なコミュニケーションが自然と生まれている方」を基準とし、15名ほどのInstagramユーザーを選びました。それぞれのインフルエンサーは、1万人から10万人ほどのフォロワー数で、嗜好性の近いフォロワーから共感を得ているマイクロインフルエンサーと言われる方です。
1つ目の「カインズに愛着を持っている方」は、「過去にカインズの商品の投稿をしてくださったことがある方」と定義しました。
そういった方の投稿であれば、PRだとしてもフィードに自然と馴染み、フォロワーの反応も良くなります。
2つ目の「フォロワーとの活発なコミュニケーションが自然と生まれている方」とは、投稿に対して、例えば「このパッケージはこうだったら更にいいですね」というようなコメントが自然につく方を指します。
普段の投稿において商品の長所のみならず改善点や期待する点についてフォロワーとコミュニケーションをとっている方にPR投稿をしていただくと、PR投稿が単なる宣伝ではなく実感のこもった意思表明や意見、おすすめになる傾向があります。そのため、そのPR投稿を見ているフォロワーも投稿された商品を買いたくなったり、実際の商品を見たくなったりするのではないでしょうか。
そのようなインフルエンサーを活用したこともあり、このキャンペーンでは2ヶ月間で500件ほどのご応募をいただきました。
―――インフルエンサー選定の基準を明確にすることで、アカウントと親和性の高いフォロワーの獲得につながっているのではないかと思います。
4. 多彩な切り口でファンを生むコンテンツ戦略
4-1. Instagramのユーザーが知りたい情報を届ける工夫
―――投稿に使われる写真は、どのように制作していますか。
基本的には、メディアやカタログに掲載するために商品発売時に撮影した、日常的なシーンに商品が溶け込んだ写真から選んで投稿しています。
ただ、Instagramの投稿はじっくり見ていただけることも多いので、メディア・カタログ掲載用の写真とは別に、商品のディティールが伝わるような寄りの写真をスタジオで追加撮影することもあります。
そういった写真を組み合わせて、複数枚投稿しています。
中でも、商品に関する投稿は、リーチが伸びる傾向にあります。
例えば、「ストーンマーブルフライパン」(上の画像の商品)は、フライパンの取っ手が外れて、コンパクトに収納できるようになっています。「こんなの欲しかった」と思っていただけるオリジナル商品で、Instagramでもサイズ感や収納イメージなどを複数枚の写真で伝えたところ、ユーザーからも大きな反響がありました。
―――Instagram向けに写真を組み合わせることで、商品の魅力を伝わりやすくしているのですね。
4-2. 動画に徹底的にこだわり、世界観をつくる
―――他にコンテンツの特徴はありますか?
DIY動画を投稿していることですね。
商品の活用方法については、店舗でもご質問をいただくことが多いので、店頭に活用例を示したパンフレットを置いています。
それを動画にすれば、もっと気軽にDIYを実践していただけると考え、Instagramに商品活用例の動画を投稿し始めました。
このような動画を通して、カインズのDIY文化をお客様の生活に取り入れていただきたいという思いがあるので、動画のクオリティにはこだわっており、動画制作会社の方と協同で、スタイリッシュにコンテンツを作りこんでいます。
そのおかげで、DIY動画の投稿に対しては「かっこいい」「真似してみたい」というお声をいただくことが多く、カインズの思いをお届けできていると感じています。
―――DIY動画を拝見しましたが、本当に真似したくなるような動画に仕上がっています。思いとクオリティが両立した素敵なコンテンツですね。
4-3. 店頭にフォトスポットを設け、UGC活用を促進
―――UGCは活用していますか。
カインズは「Pet’s One」というペットショップを展開しているのですが、そのWEBサイトにUGCを活用しています。
(Pet’s One:https://www.cainz.co.jp/petsone/)
カインズのペットウェアやグッズをご購入いただき、「#カインズペット」というハッシュタグを付けてInstagramに投稿していただいた写真を、WEBサイトに反映しているのです。
(参考:https://www.cainz.co.jp/petsone/)
投稿を促進するために、改装オープンした3店舗にペット用のフォトスポットを設けました。レンガをバックに色鮮やかな羽が描かれた、インスタ映えするフォトスポットで、ペット連れの方に楽しく撮影をしていただいています。これがじわじわと話題になり、「#カインズペット」の投稿一覧でも、フォトスポットで撮影された写真を多く見かけるようになりました。
(参考:https://www.instagram.com/explore/tags/カインズペット/)
―――実店舗でもユーザー投稿促進のための取り組みをされているんですね。
そうですね。楽しんで撮影・投稿してくださる方が多いことが分かったので、他店舗でも随時、デザインの異なるフォトスポットを設置して、ペット巡礼のようにできたら面白いと思っています。
5. DM返信でも丁寧な「接客」を心がけ、差別化
―――ストーリーは活用されていますか。
フィード投稿をこまめに確認せず、ストーリーのみ流し見するユーザーも多いので、ストーリーでフィード投稿を「new post」として取り上げ、周知しています。
施策前は一時的に減少傾向にあったリーチ数やエンゲージメントも、施策を経て数字が回復しました。
また、先日、クリスマスに関するアンケートをストーリー上で行いました。
アンケート機能や質問機能を利用するのは今回が初めてだったのですが、カインズのバイヤーから、クリスマス商品の嗜好に関してInstagramでアンケートを実施してほしい、との依頼があり、実施に至りました。
クリスマスツリーやクリスマスグッズなどのアイテムの好みなどを、2択でお答えいただいたのですが、予想以上に答えてくださる方が多く、今後もユーザーとのコミュニケーションの手段として活用できればと考えています。
(参考:https://www.instagram.com/cainz_official/)
―――他にInstagramの運用で力を入れていきたいことはありますか?
ライフスタイルに特化した多くの暮らし系アカウントがある中で、私たちカインズのアカウントの差別化ポイントはコミュニケーションではないかと思っています。
DMには必ず返信をしていますし、コメントで「この商品はうちの近くで売っていますか」のようなご質問をいただいた場合は、DMで住所をお伺いし、ご返答しています。
そうしたコミュニケーションをさらに強化することで、情報を受信するだけでなく相互コミュニケーションにより情報を得たいと考えている若年層にも、ブランドのファンを増やしていきたいですね。
6. まとめ
カインズのInstagram活用法をまとめます。
・紙のチラシは中高年齢層を、Instagramは20代〜30代の女性を、それぞれターゲットに設定し使い分け
・リーチやインプレッションが伸びず、アカウントの認知が広がらなかったため、ハッシュタグキャンペーンを実施
・インフルエンサーを起用する際には、「自社ブランドへの愛着度」や「フォロワーとのコミュニケーション」を規準に選定
・Instagram向けに、商品のディティールが分かる写真を追加撮影し、複数枚投稿
・DIY文化をお客様の生活に取り入れていただきたいという思いから、制作会社と協同で動画コンテンツを作り込み
・実店舗にフォトスポットを設置することで、ユーザーに楽しんでもらえるUGC生成を実現
・フィード投稿をした際には、ストーリーに「new post」として取り上げ、ストーリーしか見ないユーザーにも投稿を周知
・バイヤーと連携しストーリーの機能を活用してアンケートを実施
特にインフルエンサーを活用したハッシュタグキャンペーンの施策は、フォロワー数の増加や新しいファンの獲得という点で効果的だと思いました。
皆さんも参考にしてみてはいかがでしょうか?