下着のセレクトショップAMPHIのおしゃれなインスタグラムの雰囲気。洋服に比べると投稿しにくいように感じる下着の写真…しかし、だからこそ生み出せる世界観を今回は伺った。
目次
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1.ご紹介
1-1.企業紹介
ワコールの運営する下着ブランドの中でも20代、30代をターゲットにしたおしゃれな商品を多様に取り扱っているAMPHI。AMPHIのコンセプトは『新しい、かわいい、に出会う場所』。洋服を選ぶ感覚と同じようにインナーも選べれば楽しいのではないかという発想から始まったショップだ。
公式HP:http://www.amphi.jp/
1-2.インスタグラム紹介
インスタグラム公式アカウント:@amphi_official
アカウント運用開始:2015年8月4日
フォロワー数:3.6万人
今回はAMPHIのSNSを運用しているプレス担当の方にお話を伺った。
2.インスタグラム運用について
2-1.運用目的に販促を掲げない理由
AMPHIのインスタグラムの開始は、上記にも記してあるように2015年の8月ごろ。
お話を伺うと、インスタグラムの運用を決定したのには、インスタグラム上でアパレルブランドでの公式アカウント化が当たり前になっていたために、ぜひAMPHIでもやってみたいという店舗スタッフからの要望があったからだそうだ。
実際、2010年にリリースされ写真共有型のSNSとされたインスタグラムは、2014年12月に世界の月間アクティブユーザーが3億人に達し、その後も急速に成長し続け、2015年にはユニクロ銀座店のフォロワー数の推移が話題になったりと、アパレルブランドでのインスタグラムの活用が珍しくなくなってきた。
instagram activeusers 2016 (https://www.statista.com/statistics/253577/number-of-monthly-active-instagram-users/)
それを鑑みれば、AMPHIの開始時期はちょうどアパレルブランドのインスタグラム利用が流行に乗ってきた段階でのスタートと見ることができる。
また、インスタグラムを運用する目的は販促ではなく、あくまでもブランディングだという。
その理由としては、インスタグラムはAMPHIさんの世界観を表現する場であり、
それを通して一人でも『AMPHI』というブランドを好きになってもらえればという意識があるからだという。
結果的には、著名人とのコラボ商品発売時などは、『インスタグラムを見てこの商品がほしい』といったようなお客様からの声が店舗スタッフから上がることもあるそうだ。
2-2.投稿時間を意識したアカウント運用
インスタグラムの運用は担当者一人で行われているそう。
ターゲット層としてはAMPHIの客層と同様、20代から30代女性。
投稿頻度は、週1度以上を目標としており、投稿時間は夕方の通勤時間帯が多いという。
学校や仕事の後の時間は、電車での帰り道や夕食前など午後5時や午後7時を中心にインスタグラムをチェックする人が多いというデータが取られている。
午後5時は特にアクティブなユーザーさんが活動する時間といわれており、フォロワーの反応が多いようだ。
AMPHIはその傾向にも合致しているため、どの写真においてもいいねの数が一定に獲得できているのだろう。
2-3.フォロワー数が増加するタイミングとは?
フォロワーは2015年8月から現在2017年3月までおよそ1年半の間で、約3.6万人ものフォロワーを獲得してきた。
その推移には、特に波はなかったそうで徐々に一定の増加割合であったというが、その中でもSNSで人気のある著名人の方とコラボした商品を発売し、そのご本人の投稿があった場合はフォロワーの増加が目立つ傾向にあったそう。
例えば2016年10月には、モデルの田中里奈さんとAMPHIのコラボランジェリーが発売され、そこでは田中里奈さんが発売と同時にインスタグラムを投稿する中で、それに合わせてリポストという形でAMPHIも投稿をしており、そのシンクロもブランディングの上で効果のあるものとなったのだろうと予測できる。
3.投稿手法について
3-1.世界観にこだわるコンテンツ
なんといってもAMPHIのインスタグラムの中での注目すべき点は、その世界観。運用目的もブランディングであり、世界観を伝えるということであったが、まさにそれが表れているといえるだろう。
多くのアパレルブランドがインスタグラムを運用する中で、フォローのきっかけを与えるのは、統一された雰囲気だといえるだろう。
一つ一つの投稿がどんなに魅力的なものでも、アカウント画面を開いたときに一瞬で目に入るその世界観は、もう一度そこを訪れたいと思うかのインセンティブを持っている。
AMPHIの投稿では、インナーウェアを室内で撮影するだけでなく、屋外での撮影が行われたものも見受けられる。また、それぞれのプロダクトに合う小物づかいもその世界観の演出に大きな役割を担っているだろう。
その撮影について伺うと、インスタグラム用の撮影が独自に行われていることがわかった。
ハウススタジオにてそのシーズンのテーマを表現できるような小物を用意し、世界観を統一した写真を撮影している。
インスタグラム用に写真撮影の機会が設けられていることは、一つのアドバンテージとなっていると思われる。
最近のユーザーは写真のクオリティを求める傾向にあり、アパレルの写真といっても、ただ洋服を紹介する写真ではなく、どこでどう撮影されたものであるか・光の加減などでおしゃれさを求める人が多いためである。
フォロワーに好まれる写真は、扱うプロダクトごとに傾向が異なり、それを認知しておくことは非常に重要である。
AMPHIの場合、インナーウェアは繊細なデザインが施されているものが多いため、アップで撮影することでデザインの美しさが伝わるものが好まれるのだという。
3-2.キャプションまで徹底された世界観
キャプションでは2~4行ほどの短めの説明に加え、紹介されたプロダクトの値段が記されている。その説明は、紹介するインナーウェアのコンセプトに合わせたもので、それも販促に偏り過ぎず、世界観を演出するというインスタグラム運用の根底を担うものであるという。
ハッシュタグもそのためあまり多くはなく#amphi #アンフィ #wacoalといったブラ
ンド名のタグ付けが4~5個なされている。
このようにキャプションやハッシュタグを含め、コンテンツの世界観を崩さない投稿を
するために徹底されていることがAMPHIのインスタグラムの持つ魅力であろう。
3-3.他SNSとの機能上の差異
多くのアパレルショップでは、インスタグラムの他にもショップブログなどのブログ、Twitter、Facebookの運用がなされていることが多い。
AMPHIさんでもTwitterとブログの運用がされている。
Twitterでは@AMPHI_press
というアカウントでツイートされており、こちらは主にインスタグラムとの連携投稿が
されている。それに加え、インスタグラムとは異なり、店頭で行われているキャンペー
ンやセール情報などを載せる販促機能も持っていることが特徴である。
ブログでは、各ショップごとのフェアやキャンペーンの告知がなされており、これもインスタグラムと
は全く別の機能を持ったプレスであるそうだ。
複数のSNSをプレスとしてどう使うかは、連携させて同じようなコンテンツを載せる
方法から、まったく別の機能を持たせるまで様々だが、AMPHIの場合は、インス
タグラムには販促の役割はないことから、ブログとは異なる役割を担っていることが見
受けられる。
Twitterはブログのようなショップの販促も載せる一方で、インスタグラ
ムとの連携機能もあるため、その情報拡散能力からどちらの機能も担っているのだとい
えるだろう。
様々なSNSツールが開発され流用している今、それぞれのSNSのアカウントの特性を把握し、違った役割分担を負わせることはプレス活動の上で多くの角度からアプローチを可能にするものであろう。
4.まとめ
AMPHIのインスタグラムの特徴は、やはり世界観の演出といえるだろう。
そのためのキャプションやハッシュタグもそうだが、コンテンツの撮影に特にこだわりがあるように思えた。
インナーウェアという一見写真にしづらそうな投稿も、コンテンツ撮影に力を入れることで、商品の細部のきれいさまで伝わるおしゃれな世界観となっている。
また、販促の機能はブログやTwitterなど他のSNSに持たせ、インスタグラムでは販促をしないというこだわりが徹底されているアパレルアカウントは珍しいが、そのアドバンテージは十分に感じられる。
SNSによって役割を変えて運用するあり方は、他企業も参考にできるポイントだろう。