企業のPRやブランディングに使えるSNSとして、インスタグラムの認知は拡大しています。民間企業だけでなく、地方自治体によるインスタグラム活用も盛んになっています。地方活性化を図る新たな手段として有効かもしれない、地方自治体のインスタグラム活用事例を紹介します。
目次
1.地方自治体がインスタグラムを活用すべき理由
地方自治体がインスタグラムを使う最大の目的は、民間企業と同様にPRおよびブランディングです。その地域の魅力を発信し伝えることは、地方活性化・観光客を増やす・人口の維持、増加といった課題を解決する際に、非常に有効な手段だと考えられます。地方の魅力を発信する際に、インスタグラムが適しているという点について詳しく見ていきましょう。
インスタグラムの特徴
まず、インスタグラムそのものの特徴は以下の2点になります。
- スマートフォンでとった写真を手軽に加工できる
- 写真、動画を手軽にSNSに投稿し、共有できる
まずひとつ目が「写真の加工」という特徴です。これまでは地方の魅力を伝える写真を撮るとなると、プロのカメラマンに依頼するのが一般的でした。近年の携帯カメラの画質向上や、加工機能により、素人でも見栄えのいいきれいな写真を撮ることが可能になりました。
ふたつ目のポイントが「写真の共有」です。地方の魅力といったらなにを想像しますか?「きれいな自然」「おいしい食べ物」「絶景スポット」などあるかと思いますが、それらの魅力を伝えるには文字よりビジュアルのほうが適しています。百聞は一見に如かずということです。
文字ではなくビジュアルによる発信
イクラの表現を文字とビジュアルでそれぞれ見ていきます。
文字で伝える場合
「一粒一粒に張りのあるイクラがオレンジ色に艶めいて、噛めば辛からず甘からずのおいしい汁がプチュッと舌を打つ」
「水晶玉の中にルビーが輝いているようで、手で押すとぷつんと音がしてはじける」
「まるで海の宝石箱や~」
(参考:http://hyogen.info/content/859660889)
いかがでしょう?おいしそうないくらを想像し、よだれが出てしまう人もいることでしょう。
ビジュアルで伝える場合
いかがでしょう?文字のよさもありますが、ビジュアルのほうがより魅力が伝わりやすいのではないでしょうか?
さらにビジュアルの利点として、言葉を越えて伝えられるというポイントが有ります。日本語のわからない人にも、イクラの美味しそうな魅力が伝えられるというのはビジュアルだからこそなせるポイントです。海外からの観光客の増加を狙う場合にも非常に有効なツールとなるでしょう。
2.地方自治体の活用事例
では実際にどのような自治体がインスタグラムを活用しているのでしょうか。8つの事例をとりあげ、それぞれの活用方法を見ていきます。
2-1.和歌山県
2015年5月26日より「Insta-Wakayama」大作戦!と名づけて力を入れているのが和歌山県です。なんと4つのアカウントを作成し、それぞれの課で運用しています。
(http://wakayamapr.ikora.tv/e1124692.html)
観光(観光振興課)・・・和みわかやま(nagomi_wakayama_tourism)
フォロワー数:1803人 投稿:34件 (2015/12/22時点)
食(食品流通課)・・・おいしい!健康わかやま(oishii_delicious_wakayama)
フォロワー数:4394人 投稿:62件 (2015/12/22時点)
国体PR(総務企画課)・・・紀の国わかやま国体•大会 きいちゃん(kiichan_2015)
※現在は削除されています
フォロワー数:944人 投稿:177件 (2015/12/22時点)
移住促進(過疎対策課)・・・田舎暮らし応援県わかやま(wa_inakagurashi)
※現在は削除されています
フォロワー数:347人 投稿:55件 (2015/12/22時点)
観光および食品は多くのフォロワーがついています。それぞれの投稿に200を越えるいいねがついており、よく見られているようです。投稿のペースは、週に1回程度で運用しています。
2-2.白川郷(岐阜県大野郡白川村)
世界遺産で有名な白川郷のある白川村では村の公式アカウントを運用しています。
岐阜県白川村オフィシャルアカウント(shirakawa_go)
フォロワー数:4414人 投稿:246件 (2015/12/22時点)
白川村のアカウントは非公開となっており、フォローしないと写真や動画を見ることができません。限定公開にすることで、ファンとより親密なコミュニケーションをとることができます。
2-3.北海道更別村
フォロワー数:270人 投稿:190件 (2015/12/22時点)
フォロワー数はまだまだ多くはないものの、美しい風景を中心とした魅力的な写真が投稿されています。プロフィール文もすべて英語にし、世界に向けて魅力を発信しています。
2-4.福島県
ふくしま、なかなか。(fukushima_nakanaka)
フォロワー数:140人 投稿:125件 (2015/12/22時点)
県中地方振興局が県中地域の観光情報を発信する手段としてフェイスブックとともにインスタグラムを活用しています。バリエーション豊かな写真が投稿されています。
2-5.岩手県×柴犬まる
130万人フォロワー犬「柴犬まる」による「岩手県満喫の旅」プロモーション
~柴犬まるからの White Day、食・癒・美 冬の盛岡・小岩井満喫の旅~
フォロワー数:2.2万人 投稿:5157件 (2015/12/22時点)
岩手県と柴犬まるのコラボ企画は自治体ではなく、株式会社ビーグッド・テクノロジーの企画です。岩手の魅力を柴犬まるが取材し、ツアーに一部同行するという企画で、フォロワーの20代、30代女性から多く支持されました。フォロワー数の多いアカウントの影響力を感じられる事例です。
2-6.那須町(栃木県那須郡那須町)
フォロワー数:426人 投稿:48件 (2015/12/22時点)
自然を感じる美しい写真が見られます。プロフィール文に記載がある「#nasu_town」というハッシュタグでユーザーにも那須町の写真の投稿を促しています。
2-7.静岡県伊豆市
【伊豆市】Facebook、Twitter、LINE、Instagramの公式アカウントを開設しました。
フォロワー数:79人 投稿:66件 (2015/12/22時点)
インスタグラムのフォロワーはまだ多くありませんが、フェイスブックいいねは300を越えています。平成27年8月1日に開設されたばかりなので、今後の運用に注目したいです。様々なジャンルの写真を週に1~2回のペースで更新されています。
2-8.静岡県沼津市
インスタグラム(Instagram)で沼津の魅力を発信します!
フォロワー数:208人 投稿:18件 (2015/12/22時点)
伊豆市につづき、静岡県内2つ目のアカウントとして平成27年10月16日に公開されました。公開されて間もないものの、すでに208人のフォロワーがいます。画像の説明文に英語を用いて、海外のユーザーもターゲットにして、魅力を伝えています。
3.まとめ
地方の魅力を発信するツールとしてのインスタグラム活用を見てきました。岩手県では人気のアカウントとコラボするという試みも行われています。今後写真や動画の市場が盛り上がっていく中で、ビジュアルマーケティングの重要性がますます増えるのではないでしょうか。