
「江戸・東京」をコンセプトに商店街を盛り上げ、インバウンドの増加に合わせた取り組みを行っている小金井市。今回は、小金井市で行ったインスタグラムの活用セミナーの様子をお届けします。
目次
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1.インスタグラムセミナー開催の経緯
小金井市では、江戸東京たてもの園や古くから桜で有名な街です。そのことから、現在3年にわたり「江戸・東京」ひいては「“江戸”で新しいをつくる」をコンセプトに、2020年度の東京五輪に向かってインバウンドが増加する中で、認知を拡大しようと、小金井市商工会を中心に事業が進められています。
その中で、商店街全体、また個店それぞれの魅力をいかにPRしていくかということが課題として認識されていました。そこで、私たちテテマーチから、今回はインスタグラムを利用したPRの方法、インスタグラムでのPRの有用性や成功例等をご紹介するに至りました。
2.インスタグラムの有用性
セミナーの中では、商店街の方たちがインスタグラムを利用していくべき利点について、インスタグラムの市場感や口コミ効果、実際のインスタグラム上での成功例はじめ、検索の仕方等の実践的な話を中心に進められました。
2-1.インスタグラムの市場感
インスタグラムは世界で8億人の月間アクティブユーザーがおり、日本においても2015年から比べると約3倍のマーケットに成長しています。
(参考;https://find-model.jp/insta-lab/instagram-users-history/)
いいね数やコメント数などへのエンゲージメントはTwitterやFacebookに比べると、かなり良いと言われ、年齢層の幅も当初より拡大し、市場価値がどんどん上がっている状態です。
それでは、一般ユーザーが、一体どんなものを投稿しているのかというところを見てみると、インスタグラムは、「感動体験のシェアがされるSNS」であると認識できます。厳選された思い出のコンテンツをビジュアルでわかりやすい形で発信する点で、インスタグラムは他のSNSと差異が生じているのです。
2-2.インスタグラムは気づきを与える媒体
インスタグラムは、本当に購買につながるのかという疑問は持たれるでしょう。
インスタグラムをはじめとするSNSとGoogleやYahoo!などの検索エンジンのどちらが情報をキャッチアップする媒体として使うかというと、若年層では前者の割合が大きくなっている傾向にあります。
特にファッション分野において、20代などの若年層では、インスタグラムでの検索においてウェイトが大きくなっています。インスタグラムでビジュアルから情報をキャッチして、その後に検索エンジンを利用し、詳細な情報を調べるというフェーズが出来上がってきています。
インスタグラムはまず、「気づき」を与える媒体であると言えます。
実際、ハッシュタグから検索するという調べ方が主流となっており、ぱっと見でわかる特長が生かされています。また、キャプションには正直な感想がついており、そこで口コミ効果も実感することができます。
(参考;https://www.instagram.com/explore/tags/目黒ランチ/)
さらに位置情報のチェックイン機能を生かせば、同じ場所で撮られた違う写真がずらっと並ぶため、飲食店であればお店のメニューを一覧で見られるような感覚を得られます。そこで店舗誘導を促せることにも繋がります。
3.様々な活用事例紹介
3つの種類に分けてインスタグラムにおける実際の活用の成功例をご紹介します。
3-1.飲食店でユーザー投稿を促進する成功例
実際の成功例としてまず、自分たちがインスタグラムを運用しなくてもユーザーの間で話題になったいくつかの飲食店をご紹介します。
1つ目はフラミンゴカフェです。店舗の内装全体をフォトスポット化して、フォトジェニックな写真が撮れるお店として若い女性を中心に話題となっています。
(参考;https://www.instagram.com/explore/tags/フラミンゴカフェ/)
2つ目はニコラハウスです。ここでは、店舗の内装というよりかはメニューに工夫を施しています。思わず写真で撮りたくなるような動物モチーフのスイーツを販売しています。
(参考;https://www.instagram.com/explore/tags/ニコラハウス/)
最後にローストビーフ大野です。先の2つの若い女性をターゲットとしたかわいさではなく、男性ユーザーにもウケるインパクトの強い料理の例です。
(参考;https://www.instagram.com/explore/tags/ローストビーフ大野/)
このように店舗の内装やメニューの開発にひと手間加えることで、お客様が楽しめる体験作りになり、効果が見込めると思います。
3-2.個性を生かした投稿でフォロワーアップ
札幌のアパレルのセレクトショップARCH HERITAGEでは、かっこいいクールな投稿が並んでいます。各投稿にURLが貼れないため、プロフィール欄にURLを貼ってECサイトに飛ばすことで、売り上げアップも期待できます。
(参考;https://www.instagram.com/archheritage/)
お洋服の直し屋「Head ood」では英語でアカウント運用していて、どういう想いを込めてお直しをやっているかということをお伝えしています。
デニム好きな人は技術も知りたいという方もいらっしゃるので、そのような方たちにも人気があるようです。
他にも丸亀市のよしやというお店では、ストーリーをうまく活用されています。うどん屋さんなのですが、店主の人柄やお茶目さが伝わる投稿がされており、ファンが多く集まっているようです。
個人店がファンを獲得するためにそれぞれの強みを見つけることが必要だと考えられます。
3-3.オリジナルハッシュタグで街づくり
次に、地元を盛り上げるためにインスタグラムを利用している自治体の活用例をご紹介します。
街の活気づくりのためにインスタグラムを活用するためには、オリジナルハッシュタグを設定することが1つの方法です。
例えば、愛知県田原市では、「#たはら暮らし」というハッシュタグを付けて投稿していただくようにユーザーに促しています。
(参考;https://www.instagram.com/explore/tags/たはら暮らし/)
また、オフ会を開催しリアルなコミュニケーションをインスタグラム上で告知することで県外からも訪れる方が増加しているそうです。
4.質疑応答
参加者:
ネガティブな投稿はインスタグラム上ではないのですか。
松重:
インスタグラムでは、投稿する際にコンテンツを厳選する傾向にあります。ビジュアルで切り取って投稿をするため、自分のプロフィールページをきれいにしようと意識している方が多いので、ポジティブな投稿が多いケースがほとんどです。
参加者:
具体的な失敗例などはございますか。
松重:
インスタ映えという言葉ばかりが先行してしまい、インスタ映えの定義を固定化させてしまうことで、既に流行のものを丸々模倣してしまうことは失敗してしまう恐れがあるかもしれません。
何か独自のコンセプトを作り、こだわることが必要だと思います。
参加者:
どのような施策を採ることで小金井市の盛り上げに繋がるとお考えですか。
松重:
私たちは色々な地方自治体の活動もお手伝いさせていただいているのですが、共通のハッシュタグを設けることや、フォトコンテストを行うことが効果的だと認識しています。
弊社では、インスタグラムで投稿された写真について、マップにそれぞれの写真を落とし込むシステムも開発していまして、そのマップ上の位置をタップすると道案内に繋がる機能があります。そのような機能も利用していただくことで、店舗や観光地への誘導にも繋がると思います。
参加者:
ハッシュタグの適切な個数はありますか。
松重:
気づきを与えるということが必要ですので、上限の30個ぎりぎりまでつけていただいて構わないと思います。
常時つけるハッシュタグと、季節や天気、ムードに合わせてつけるプラスのハッシュタグを使い分けていただくことで露出が増えていくのではないでしょうか。
参加者:
フォロワーを増やすにはどうしたらいいですか。
松重:
自分のアカウントの存在に気づいていただくことが大切です。そのため自分の投稿に興味を持っていただけそうな趣味の同じアカウントの投稿に、いいね!をつけにいくことは効果的です。
その際に、自分のプロフィールページを整えておくことで、フォローをしてくれることが増えます。投稿数を増やすことより、質にこだわった写真で一貫性のある投稿をしていくとよいと思います。
参加者:
どのように写真の加工をしていけばいいですか。
松重:
例えば、食べ物の写真を撮るのであれば「フーディー」等のアプリが存在します。
インスタグラムでも編集はできますが、それ以外のアプリを利用することで、上手に加工できると思います。
また、写真を撮るときは小物を使ってみたり、自然光を取り入れたりしてみると質の高い写真になります。
5.セミナーにおける効果・反響
セミナー後にアンケートを実施しフィードバックを得ました。
まず、参加者の商店街の方の年齢層は以下の通りで、50代の方に多くご参加いただきました。
飲食業を営んでいる方が多くいらっしゃっていましたが、他にもイラストレーターの方、建築関係の方はじめ多様な職種の方に集まっていただきました。
参加者の中では、現状ではインスタグラムの投稿の閲覧のみしているという人が多いようです。
セミナーについての満足感を伺った結果、半数以上の方に「満足」とご回答いただきました。
具体的にセミナーの良かった点として、
- 若者の傾向をつかめたので参考になった
- FacebookやTwitterとの差別化が分かった
- ハッシュタグの疑問も解決してよかった
- リポストのアプリを入れていこうと考えられた
などの意見をいただきました。
また、多く「インスタグラムを今後活用していきたい!」との前向きなお声をいただきました。
もう少し話が聞きたかった点としては、
- 素敵なインスタグラムの使い方をしているユーザーの紹介例をもっと知りたい
- インスタグラムに投稿する写真の加工のポイントをもう少し知りたい
- 投稿における作業等のテクニカルな部分が知りたい
ということが挙げられました。
1時間という短い時間ではありましたが、インスタグラムを活用していくきっかけ、またヒントを提供できたようです。
貴重なご意見、ありがとうございました。
5.セミナーにおける効果・反響
このようにインスタグラムは、マスメディアに代わる情報チャネル、コミュニケーションチャネルとなっています。
店舗の内装の工夫やメニューの工夫、また、それぞれの店舗での強み、個性を生かした投稿をすることが例としてあげられました。
また、オリジナルのハッシュタグを使用することも効果的です。
いかにユーザーに投稿を促すかという施策を考えることで各店舗を盛り上げ、ひいては街全体を活性化することに繋がるのではないでしょうか。