
5月18日(土)に「2018年都市環境デザインフォーラム・関西 ~スマホは、都市環境デザインを変えるか?/インスタ映えという視点または価値~」というフォーラムに私たちテテマーチもお招きいただき、登壇させていただきました。
本記事では、そのフォーラムの内容を一部ご紹介させていただきます。
目次
目次
1.イベント概要
2017年、「インスタ映え」という言葉が流行語大賞になりましたが、まさにInstagramをはじめSNSの利用が当たり前になった今の時代で、「都市環境デザイン」、つまり地域や街づくりでもSNSを意識した考え方が重要となっています。
フォトジェニックなスポットは「インスタ映えする」と評判を呼び、瞬く間に人気になって新たな集客ツールとして存在感を発揮しています。
これまで写真を撮影するツールといえばカメラ・デジカメが主流でしたが、今では多くの人がスマートフォンで撮影を行うようになりました。
そして、スマートフォンで撮影した写真はアプリを使ってその場で手軽に加工することができ、誰もが自分らしいビジュアル表現ができるようになりました。
そのため、スマートフォンは都市環境デザインを変え、PR活動への展開はもちろん、地域おこしや新たな価値の発見・付与、商品の開発まで多岐にわたって影響を与えています。(JUDI関西 若本和仁氏)
そのような背景から、今回のフォーラムでは都市環境デザインに関する分野で、地域や場所の価値の発見・発信、創造への取り組み、仕事での使い方や、新たなサービスの広がり等を確認する場として“インスタ映えとは何か?”を議論しました。
2.各登壇者のお話「インスタ映えとは?」
そもそもインスタ映えとは何か?
新しい文化になりつつあるこの言葉について、各業界を牽引している方々より貴重なお話をいただきました。
2-1.地域の魅力の発見と発信 プロのガイドのSNSの使い方/内藤 昭夫氏(地球の歩き方 京都特派員)
まず1人目は、「地球の歩き方」の京都特派員としてブログを執筆する内藤氏。
今でもそのブログは重要な情報源として多くの読者を抱えているため、ブログとInstagramの違いについてお話をしてくださいました。
まずブログとInstagramのそれぞれの役割について整理をすると、ブログは全体図を見せて伝えるのに対し、Instagramは部分を切り取ってフォーカスして伝える違いが挙げられるそうです。
- ブログ・・・全体の写真を通じてその部分の何がよかったかをテキストで補足する。
- Instagram・・・フォーカスした一部だけ切り取って写真だけでよかったことを伝える。
これについて、さらに要素で分けると以下の違いが挙げられます。
- 撮りたい写真を撮るのか映える写真を撮るのか
- 写真とテキストどちらでメッセージを伝えたいのか
- 余計なものを入れるのか入れないのか
- 写真を加工するのかしないのか
確かに、ブログの場合は写真だけではなくテキストでさまざまな情報を伝えることができますが、Instagramは写真がメインのサービスであり、そこまで投稿文などは意識せずとも多くの場合ビジュアルだけでメッセージを伝えられます。
地球の歩き方ブログ:https://tokuhain.arukikata.co.jp/kyoto/
2-2.デザイナーにとってのSNS/石 憲明氏(株式会社seki,design代表)
「昔は本でしか建築写真を見ることができなかったが、今はインターネットを通じて気軽に建築写真を見ることができるようになり、本当にオープンになった」と語る石氏。
石氏には、主に建築家の情報発信手段としてSNSの活用を話していただきました。
そこで話の軸になったのが、「建築はインスタ映えしなくてはいけないのか?」という点です。
石氏「Instagramで建築物が注目を浴びるためには、小さい画像が何枚も同時に表示されたときに、その中で何かしらのポイントで目立たなければならない。何を考えてデザインされたものか、そのストーリー性に興味を持ってもらうには、まずは直感的に瞬時に反応してもらう必要がある。そうしないと、そもそも次のステップに進んでもらえない。」
石氏は、現在はフォトジェニックなCGを使ってプレゼンテーションも行っているそうですが、その背景にあるのは「インスタ映え」のニーズだそうです。施主や経営者の方も、建築においてインスタ映えを意識するようになっているためです。
たとえば、リゾート施設はフォトジェニックを意識したデザインになり、オフィスを持つ経営者はオフィスの空間にフォトジェニックを取り入れることで従業員のモチベーションを上げたり、外部に向けて自社の魅力を伝える武器としてそれを活用したりと、このような動きが当たり前になってきているそうです。
SNSで気軽に建築写真を見ることができる時代だからこそ、建築をデザインする上で“フォトジェニック”を意識しない選択は無いとのことでした。
セキデザイン公式WEBサイト:http://sekidesign.com/
2-3.なぜ、市役所がInstagramを使うのか?/辻野 早紀氏(神戸市市長室広報戦略部広報課)
次は、神戸市広報課で主にInstagramとFacebookの運用を担当している辻野氏が、自治体である神戸市がなぜSNSを使った情報発信をするのかを話してくださいました。
辻野氏いわく、そもそもInstagramを始めた理由は以下の点が挙げられるそうです。
- FacebookやTwitterには若い女性が少ないこと
- 行政の固いイメージを払拭し、親しみやすさを伝えたい
Instagramは、若い女性向けに「かわいい」や「おしゃれ」といったキーワードを訴求できるようにと開設。また、神戸市はそれに伴い、Instagramを意識したまちづくりを行うように意識を変えていったそうです。
神戸市の「BE KOBE」は最近よく見るようになったモニュメントです。観光客が神戸市に来たら、このモニュメントの前で写真を撮る文化が徐々に醸成されています。
神戸市ではこれを皮切りに、ウォールアートやメリケンパークにある噴水のイルミネーション、駅前の再整備や再開発を積極的に進めています。
神戸市はインスタ映えしたまちづくりを意識しつつも、神戸の特徴を活かしたまちづくりが進められています。思わず撮りたくなる神戸がこれからもっと増えていくでしょう。
神戸市インスタグラムアカウント: https://www.instagram.com/my.sweet.kobe/
2-4.Instagramを活用したまちづくりの現状 新たなサービス/松重 秀平(テテマーチ株式会社執行役員)
私たちテテマーチの執行役員である松重も登壇させていただきました。
Instagramを中心にSNSマーケティングの支援をしているテテマーチからは、Instagramを活用したまちづくりについてお話しをいたしました。
Instagramは「美味しい」や「楽しい」など人々のポジティブな体験が詰まった口コミメディアとして位置づけられ、“インスタ映え”とは「真似されるもの、それによってInstagram上でよく見るもの」と定義しています。
たとえば、羽を用いたウォールアートはまたたく間に全国的に広がりました。
引用:https://laurier.press/i/E1495440047524
上記のように、インスタ映えするためにコトやモノ、場所が作られるような時代となり、そのインスタ映えを求めて多くのユーザーが行動の意思決定をしています。
このような背景から、弊社で提供しているInstagramキャンペーン管理ツール「CAMPiN」も、Instagramを活用したフォトコンテストを実施したいと考えている多くの企業や自治体に利用していただけるようになりました。
もはや、インスタ映えは社会現象になっているということです。まちづくりだけではなく、生活の中の多くのシーンでInstagramを意識せざるを得ない世の中になっていることは否定できないでしょう。
3.まとめ
本記事では、フォーラムでの内容を一部切り取って解説させていただきました。
「インスタ映え(フォトジェニック)」という言葉が社会現象になるほど広まったように、Instagramが様々な業界に影響を与えていることがご理解いただけたかと思います。
これからも、ユーザーのニーズやリアルな声はSNSやWebを通じて発信し続けられるでしょう。
マーケティングで成功するには、そのニーズや声をどれだけ私たちがキャッチアップし、受け入れることができるかどうか。そして私たち自身がそれに合わせて変化していけるかどうかが重要になってきます。
都市環境デザインフォーラムでは、このほかに都市環境に関するInstagramでの投稿調査結果や登壇者同士のトークセッションなど、コンテンツが盛りだくさんでした。
そちらは別の機会にまたご紹介させていただく予定です。